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離婚後の子どもの戸籍と姓はどうなる?必要な手続き

離婚 2026.07.26.

離婚後の子どもの戸籍と姓はどうなる?必要な手続き
先月、夫と離婚しました。私が親権者になって子どもと一緒に暮らしているのですが、ふと戸籍謄本を見たら、子どもがまだ前の戸籍に残っていて姓も元のままなんです。親権者なのに、これでいいんでしょうか。

Dさん

微笑

横田

とてもよくあるご質問です。実は、離婚であなたの戸籍や姓が変わっても、お子さんの戸籍と姓は自動的には動かないんですよ。親権者になったからといって、当然に同じ戸籍に入るわけではないんです。
えっ、そうなんですか。てっきり親権を取れば全部一緒になるものだと思っていました。

Dさん

微笑

横田

そう思われる方は本当に多いです。お子さんをあなたと同じ戸籍・同じ姓にするには、家庭裁判所への申立てと役所への届出という、二つの段階を踏む必要があります。今日はその流れを順を追ってご説明しましょう。
お願いします。何から手をつければいいのか、まったく分からなくて。

Dさん

微笑

横田

大丈夫です。一つずつ整理すれば難しい手続きではありません。ただ、順番と、お子さんの年齢によって変わる点があるので、そこを押さえていきましょう。
この記事でわかることとして、母の姓が変わっても子の戸籍と姓は自動的には動かないこと、子の氏の変更許可と入籍届という二段階の手続き、15歳を境に申立人が変わる点と放置した場合の不都合を挙げている。

離婚しても子どもの戸籍と姓は動かない

離婚を考えるとき、多くの方は親権をどちらが持つかに関心が向きます。しかし、離婚後の生活で意外な落とし穴になるのが、子どもの戸籍と姓の問題です。

まず前提として、結婚するときに姓を変えた側、多くの場合は妻ですが、その人は離婚によって婚姻前の姓(旧姓)に戻る「復氏」か、婚姻中の姓をそのまま名乗り続ける「婚氏続称」かを選ぶことになります。婚氏続称を希望する場合は、離婚の日から3か月以内に役所へ「離婚の際に称していた氏を称する届」を出す必要があります。

ここで重要なのが、母親の戸籍や姓がどう変わっても、子どもの戸籍と姓はそれに連動して自動的に変わるわけではないという点です。

離婚すると、婚姻時に姓を変えた側の親は元の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作ります。一方で、子どもは原則として婚姻時の戸籍、つまり多くの場合は父親が筆頭者となっている戸籍にそのまま残ります。姓も、戸籍に残っている以上、婚姻中のままです。

つまり、母親が親権者となって実際に子どもと暮らしていても、戸籍の上では子どもが父親と同じ戸籍にいて、母親だけが別の戸籍にいる、という状態が生じます。

親権者であることと、戸籍が同じであることは、まったく別の話なのです。

親権は子どもの監護や財産管理に関する権限の問題であり、戸籍は身分関係を公的に記録する制度の問題で、両者は連動していません。

この点を知らないまま離婚届だけを出して安心してしまうと、後になって「子どもの姓が自分と違う」「戸籍が別々になっている」と気づき、慌てて手続きを調べることになります。

お子さんと同じ戸籍・同じ姓で暮らしたいのであれば、離婚後に改めて手続きを踏む必要があるということを、まず押さえておいてください。

親権者になっても子の戸籍・姓は自動で動かないという意外な落とし穴を紹介し、親権は監護・財産管理の権限、戸籍は身分関係の記録制度で両者は連動せず、母が親権者でも子は父と同じ戸籍に残ると説明している。
母自身の姓について、婚姻前の姓に戻る「復氏」と、離婚日から3か月以内の届出で婚姻中の姓を名乗り続ける「婚氏続称」を比較し、母の姓の変更は子の戸籍・姓に連動しないと説明している。

「子の氏の変更許可」と入籍届の二段階手続き

では、母親が親権者として、子どもを自分と同じ戸籍・同じ姓にしたい場合、どうすればよいのでしょうか。

ここで必要になるのが、二段階の手続きです。

◎第一段階は、家庭裁判所への「子の氏の変更許可」の申立てです。

子どもの姓を、父親の戸籍の姓から、母親が名乗っている姓に変えることについて、家庭裁判所の許可を得る手続きです。申立先は、原則として子どもの住所地を管轄する家庭裁判所になります。申立てには、申立書のほか、子どもの戸籍謄本や、母親(変更先の戸籍)の戸籍謄本などが必要です。収入印紙や郵便切手といった実費もかかりますが、金額はわずかです。

この申立てに対して、家庭裁判所は子の福祉の観点から許可するかどうかを判断します。離婚にともなって母親と同じ姓にしたいというケースでは、通常は許可が出ることが多いといえますが、許可は当然に得られるものとして手続きを省略できるわけではありません。あくまで家庭裁判所の許可を経る必要があります。

◎第二段階は、家庭裁判所の許可が出た後、役所へ「入籍届」を提出することです。

注意していただきたいのは、家庭裁判所の許可が出ただけでは、まだ子どもの戸籍も姓も実際には変わっていないという点です。許可審判書を添えて役所に入籍届を出して初めて、子どもが母親の戸籍に入り、姓も母親と同じになります。

つまり、流れとしては以下のようになります。

  1. 婚氏続称や復氏など、母親自身の姓を確定させる
  2. 家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立て、許可を得る
  3. 許可審判書を持って役所へ入籍届を提出する

この順番を踏むことで、ようやく子どもが母親と同じ戸籍・同じ姓になります。

「許可をもらえば終わり」ではなく、最後の届出まで済ませて初めて完了するという点を、しっかり覚えておいてください。

子を母と同じ戸籍・姓にする二段階の手続きとして、家庭裁判所への「子の氏の変更許可」の申立てと、許可審判書を添えた役所への入籍届の提出を示し、入籍届まで済ませて初めて完了すると説明している。
子を同じ戸籍・姓にする3ステップとして、母親自身の姓の確定、家庭裁判所への子の氏の変更許可の申立てと許可取得、許可審判書を持った役所への入籍届提出の順序を示し、実費はわずかだと補足している。

子が15歳以上か未満かで申立人が変わる

「子の氏の変更許可」の申立てで、もう一つ押さえておきたいのが、子どもの年齢によって申立てをする人が変わるという点です。

子どもが15歳未満の場合は、法定代理人である親権者が、子どもに代わって申立てを行います。つまり、親権者である母親が、子どもの代理人として家庭裁判所に申し立てるかたちになります。子どもがまだ幼く、自分で手続きの意味を判断できない年齢を想定した扱いです。

一方、子どもが15歳以上の場合は、子ども本人が申立人となって、自分で申立てを行います。15歳という年齢は、家族法の世界でひとつの節目とされていて、自分の身分に関わる事柄について本人の意思を尊重する趣旨です。氏の変更だけでなく、たとえば親権者の指定をめぐる場面などでも、15歳以上の子の意思は重く扱われます。

実務上は、複数のお子さんがいて、ある子は15歳未満、別の子は15歳以上、という場合もあります。その場合、15歳未満の子については親権者が代理して、15歳以上の子については本人が、それぞれ申立てを行うことになります。同じきょうだいでも、手続きの主体が分かれることがあるわけです。

この年齢による違いを知らないと、たとえば15歳以上のお子さんについて親が代わりに申し立ててしまい、手続きをやり直すことになったり、逆に15歳未満なのに本人にやらせようとして戸惑ったりすることがあります。申立ての前に、それぞれのお子さんが15歳に達しているかどうかを確認することが大切です。

また、子どもの意思という観点からも、ある程度の年齢に達したお子さんについては、姓が変わることをどう感じているか、本人の気持ちにも配慮しながら進めることが望ましいといえます。手続き上の問題だけでなく、お子さんの生活や心情にも関わる事柄だからです。

子の氏の変更許可の申立人は年齢で変わり、15歳未満は法定代理人である親権者(母)が子に代わって申立てを行い、15歳以上は子ども本人が申立人となって自分で申立てを行うことを比較して示している。
15歳という年齢は自分の身分に関わる事柄で本人の意思を尊重する家族法上の節目であり、氏の変更や親権者の指定でも重く扱われるため、姓が変わることへの本人の気持ちに配慮しながら進める大切さを述べている。

手続きを放置するとどうなるか

「子どもの戸籍と姓が別のままでも、一緒に暮らせているなら困らないのでは」と考える方もいます。確かに、手続きをしなくても日常生活がすぐに立ち行かなくなるわけではありません。しかし、放置したことで後々不都合が生じる場面はいくつもあります。

たとえば、学校生活や各種の手続きの場面です。

母親と子どもの姓が違うと、書類の上で親子であることが一目で分かりにくくなり、説明を求められたり、関係を証明する書類を別途用意したりする手間が生じることがあります。お子さん自身が、自分だけ親と姓が違うことを気にする場合もあります。

また、相続や扶養の場面でも、戸籍が別々になっていると関係が分かりにくくなることがあります。戸籍は身分関係を公的に証明する基礎となる記録ですから、整理しておくことには意味があります。

一方で、すべての方が必ず子どもの姓を変えなければならないわけではありません。お子さんがすでに学齢期で、これまでの姓に馴染んでいて、本人が変えたくないと考えている場合もあります。姓を変えるかどうかは、家庭の事情やお子さんの気持ちを踏まえて判断すべきことであり、機械的に決めるものではありません。

ここで気をつけたいのは、戸籍や姓の問題が、親権や養育費の取り決めと密接に絡んでいるという点です。離婚の条件を決める段階で、子どもの戸籍や姓をどうするかも含めて全体を見渡しておくと、後から「これも決めておけばよかった」と慌てずに済みます。離婚後に時間が経ってから手続きを始めると、戸籍をたどる手間が増えたり、お子さんの状況が変わって判断が難しくなったりすることもあります。

当事務所では、福井県大野市に事務所を構えていますが、地域を問わず全国のご相談に対応しています。

戸籍や姓の手続きは、一度進めると簡単には戻せない選択を含むため、ご自身の状況に合った進め方を、離婚条件全体の中で整理しておくことをおすすめします。

手続きを放置すると生じる不都合として、母と子の姓が違うと親子関係が書類上分かりにくく証明書の手間が生じること、子ども自身が姓の違いを気にする場合があること、相続や扶養で関係が分かりにくくなることを挙げている。
すべての人が子の姓を変える必要はなく、学齢期の子が今の姓に馴染んで変えたくないと考える場合もあるため、姓を変えるかどうかは家庭の事情や子どもの気持ちを踏まえて機械的に決めるべきではないと述べている。
離婚の条件を決める段階で子どもの戸籍や姓をどうするかも含めて全体を見渡しておくと後から慌てずに済むこと、戸籍・姓は親権や養育費の取り決めと密接に絡むことを説明している。
戸籍や姓の手続きは一度進めると簡単には戻せない選択を含むため、自身の状況に合った進め方を離婚条件全体の中で整理しておくことを勧め、迷ったら早めに専門家へ相談するよう呼びかけている。
親権を取れば子も当然に同じ戸籍・姓になるというのは誤解であること、家庭裁判所の許可は通過点で役所への入籍届を出して初めて変わること、15歳を境に申立ての主体が変わることを誤解しやすいポイントとして挙げている。

まとめ

離婚で母親の戸籍や姓が変わっても、子どもの戸籍と姓は自動的には動きません。

親権者であっても、子を同じ戸籍・同じ姓にするには、家庭裁判所への「子の氏の変更許可」申立てと役所への入籍届という二段階の手続きが必要です。

子が15歳以上か未満かで申立人が変わる点、最後の届出まで済ませて初めて完了する点を押さえておきましょう。

迷ったら早めに専門家に相談することで、後から戻れない選択でつまずくのを避けられます。

記事の要点として、母の姓変更が子の戸籍・姓に自動連動しないこと、子の氏の変更許可申立てと入籍届の二段階手続きが必要なこと、15歳で申立人が変わり届出まで完了が必要なこと、戸籍・姓は親権や養育費とも絡むことをまとめている。

思っていたより手順があるんですね。許可をもらうだけで終わりだと勘違いするところでした。

Dさん

微笑

横田

そこを誤解される方は本当に多いんです。家庭裁判所の許可は通過点で、最後に役所へ入籍届を出して初めて、お子さんの戸籍と姓が変わります。許可が出たら、忘れずに届出まで進めてくださいね。
子どもがもうすぐ15歳になるんですが、それも関係しますか。

Dさん

微笑

横田

ええ、15歳を境に、申立てをするのが親なのか本人なのかが変わります。タイミングによって手続きの主体が変わるので、今の年齢を確認したうえで段取りを組むのが安全です。お子さんの気持ちにも配慮しながら進めたいところですね。
分かりました。自分だけで進めるのは少し不安なので、相談しながらやってみます。

Dさん

微笑

横田

それがいちばん確実です。戸籍や姓の問題は、親権や養育費とも絡んできますから、離婚条件全体を見渡してご一緒に整理していきましょう。当事務所は全国どこからのご相談にも対応していますので、どうぞ安心してお声がけください。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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