COLUMNコラム
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DV・モラハラから安全に離れる|保護命令と別居の進め方
離婚 2026.07.25.

Dさん

横田

Dさん

横田

何よりも安全確保が最優先
DVやモラハラの問題に直面したとき、多くの方が「離婚の話をどう切り出そう」「財産分与はどうなるのか」と、先のことを考えてしまいがちです。しかし、まず何よりも優先すべきは、あなた自身と子どもの身の安全です。
身体的な暴力はもちろんのこと、大声での威圧、人格を否定する言葉、行動の監視や束縛、生活費を渡さないといった経済的な圧迫も、すべて配偶者からの暴力(DV)に含まれ得ます。
「殴られていないから大丈夫」ということはありません。精神的に追い詰める言動も、心と体を確実にむしばんでいきます。
危険が差し迫っていると感じたら、無理に話し合いで解決しようとしないでください。加害的な相手に「離婚したい」と正面から伝えることは、かえって相手を逆上させ、危険を高めてしまうことがあります。
大切なのは、相手を刺激せずに、安全な状態へ移ることです。
そのためには、後で述べる相談窓口や弁護士といった第三者の力を借りることが有効です。一人で抱え込み、相手と直接対峙し続けることは、心身ともに大きな危険を伴います。「逃げてはいけない」と思い込む必要はありません。安全な場所へ移ることは、決して弱さではなく、自分と子どもを守るための正しい行動です。
DVの被害に遭っている方は、長く支配される中で「自分が悪いのではないか」「我慢すればいい」と思い込まされていることがよくあります。加害者は、相手を孤立させ、自信を失わせることで関係を維持しようとする傾向があるからです。しかし、暴力や暴言の責任は、ふるった側にあります。あなたが責められるべき理由は一つもありません。まずはその事実を心に留め、自分を守ることに迷いを持たないでください。



保護命令という法的な盾
身の安全を守るための強力な法的手段が、保護命令です。
これは、配偶者からの暴力の防止等に関する法律(いわゆるDV防止法)に基づき、被害者の申立てによって裁判所が加害者に対して発する命令です。
保護命令には、主に次のような内容があります。
- 接近禁止命令――加害者が被害者の身辺につきまとったり、住居や勤務先の付近をうろついたりすることを禁止する。
- 電話等禁止命令――面会の要求、無言電話、深夜の連絡、メールの連続送信などを禁止する。
- 退去命令――加害者に対し、被害者と同居している住居からの退去を命じ、その付近をうろつくことを禁止する。
これらの命令に違反した場合には、刑事罰(罰則)が科される点が、保護命令の大きな特徴です。単なる約束とは異なり、国家の力で相手の行動を縛るものですから、抑止力が働きます。
保護命令を出してもらうには、暴力や脅迫を受けた事実、そして今後さらに重大な危害を受けるおそれがあることなどを、資料をもって裁判所に示す必要があります。
申立てにあたっては、事前に配偶者暴力相談支援センターや警察に相談しておくことが前提とされる場合があり、その相談の記録が手続きを進めるうえで重要になることもあります。だからこそ、危険を感じたら早めに公的な窓口に足を運び、相談の事実を残しておくことが、後の保護命令につながっていきます。
なお、保護命令の要件や対象は法改正によって見直されることがありますので、申立てを検討する際は、最新の運用を確認することが大切です。
近年は、身体的な暴力だけでなく、生命や身体に重大な危害を及ぼす脅迫を受けた場合なども対象に含める方向で、制度の充実が図られてきました。要件の判断や資料の準備には専門的な知識が必要ですので、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。



頼れる相談窓口――一人で抱え込まない
DVやモラハラの問題は、一人で抱え込まないことが何より大切です。
あなたを支える公的な窓口がいくつもありますので、ぜひ頼ってください。
- 配偶者暴力相談支援センター――DV被害の相談に応じる専門の窓口です。相談、安全確保のための情報提供、一時保護や自立支援に関する案内など、幅広く支援してくれます。
- 警察――身の危険が差し迫っているときは、ためらわずに通報してください。緊急時は110番です。生命や身体に危険が及ぶおそれがある場合、警察は被害を防ぐための措置をとってくれます。
- 自治体の相談窓口――市区町村の福祉担当などでも、生活面を含めた相談に応じてくれます。住まいや生活費、子どもの問題など、暮らし全般のサポートにつながることがあります。
- シェルター(一時保護施設)――家にいることが危険な場合、加害者から離れて一時的に身を寄せられる施設があります。場所は秘匿され、安全が守られます。
これらの窓口は、いずれも被害者を守るために用意されたものです。
「こんなことで相談していいのだろうか」とためらう必要はありません。
早めに相談することが、結果として最も安全な道を開きます。
そして、こうした窓口と並んで、弁護士もあなたの心強い味方になります。法的な見通しを示し、相手との交渉を引き受け、保護命令や離婚の手続きを進める――その過程であなたが直接相手と対峙せずに済むよう、間に立つことができます。

安全に別居を進めるための準備
安全を確保したうえで別居に踏み切るには、いくつかの準備をしておくと安心です。
相手を刺激しないよう、できる範囲で、ひそかに整えておくことがポイントです。
別居の際に持ち出しておきたいものの例は、次のとおりです。
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 預金通帳・キャッシュカード・印鑑
- 健康保険証(自分と子どもの分)
- 子どもの大切な物(母子手帳、衣類、通園・通学に必要な物など)
- 当面の現金
加えて、とても重要なのが、相手の言動を記録しておくことです。
暴力を受けた日時と内容のメモ、けがの写真、暴言の録音、医師の診断書、相手から届いた脅すようなメッセージなど――こうした記録は、後で保護命令の申立てや、離婚・慰謝料の交渉において、あなたの主張を裏づける大切な証拠になります。できる範囲で構いませんので、安全を最優先にしながら残しておきましょう。
別居を始めた後は、弁護士を交渉の窓口にすることを強くおすすめします。相手と直接連絡を取り合うと、それ自体が新たなストレスや危険の原因になります。弁護士が間に入れば、あなたは相手と顔を合わせたり、直接やり取りしたりせずに、離婚に向けた話し合いを進めることができます。
別居の際は、住民票の閲覧制限という制度も知っておくと役立ちます。これは、加害者があなたの住民票を取得して新しい住所を突き止めることを防ぐための仕組みで、市区町村の窓口で手続きできます。せっかく安全な場所に移っても、住所を知られてしまっては意味がありません。
こうした制度を活用して、新しい生活の場所を守ることも大切です。
何から手をつければよいか分からないときは、まず安全な場所を確保し、信頼できる窓口や弁護士に連絡を取ってください。順序立てて動けば、必ず安全に離れる道は開けます。
当事務所も、全国どこからのご相談でも、オンラインを含めて対応しています。




まとめ
DVやモラハラから離れるとき、最優先すべきは身の安全です。
保護命令は、相手の接近や連絡を禁止し、違反には罰則が伴う強力な盾です(要件は法改正で見直されることがあるため最新の運用を確認しましょう)。
配偶者暴力相談支援センター、警察、自治体、シェルターといった窓口を頼り、一人で抱え込まないでください。
別居の際は必要な物と相手の言動の記録を準備し、弁護士を交渉の窓口にすることで、相手と対峙せずに前へ進めます。


Dさん

横田

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