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見落としがちな年金分割|手続きの流れと期限(離婚後2年)

離婚 2026.07.20.

見落としがちな年金分割|手続きの流れと期限(離婚後2年)
離婚の話し合いをしているのですが、年金分割というものがあると聞きました。これはどういう制度なのでしょうか。

Dさん

微笑

横田

婚姻期間中の厚生年金の記録を、夫婦で分け合う制度です。よく「年金を半分もらえる」と誤解されますが、年金そのものを半分にするわけではないのです。
そうなのですね。財産分与の期限が5年に延びたと聞いたので、年金分割も同じだと思っていました。

Dさん

微笑

横田

そこが大事な注意点です。年金分割の請求期限は、原則として離婚後2年のままなのです。財産分与とは別の制度ですから、混同すると期限を逃しかねません。
2年ですか。意外と短いのですね。手続きはどう進めればよいのでしょう。

Dさん

微笑

横田

情報の取得から始まる、いくつかのステップがあります。順を追ってご説明しましょう。
この記事でわかることとして3点を提示。年金分割は年金を半分にする制度ではないこと、合意分割と3号分割の違いと手続きの流れ、請求期限は原則離婚後2年で財産分与の5年とは別制度であることを紹介するスライド。

年金分割とは何か(年金を半分にする制度ではない)

年金分割は、離婚に際して、婚姻期間中の厚生年金の記録(標準報酬)を夫婦で分け合う制度です。

ここで多くの方が誤解されるのが、「相手がもらう年金の半分を自分がもらえる制度」というイメージです。これは正確ではありません。分割の対象になるのは、婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料の記録であり、年金の受給額そのものを丸ごと半分にするわけではないのです。

もう少し具体的に言うと、年金分割では、婚姻期間に対応する厚生年金の「標準報酬」と呼ばれる記録を、当事者の間で再配分します。これによって、将来それぞれが受け取る厚生年金の額が調整される、という仕組みです。

また、分割の対象になるのは厚生年金(旧共済年金を含む)の部分であって、いわゆる国民年金の基礎年金部分は対象になりません。自営業者などで厚生年金に加入していない場合は、そもそも分割する記録が存在しないことになります。

専業主婦(主夫)として配偶者の扶養に入っていた方にとっては、自分自身の厚生年金記録が乏しいことが多いため、年金分割は老後の生活を支える重要な制度になり得ます。離婚に伴う取り決めの中で、つい財産分与や慰謝料に目が向きがちですが、年金分割も忘れずに検討すべき項目です。

年金分割が見落とされやすいのには理由があります。財産分与や慰謝料は、離婚の直後に現金や財産として受け取るものですから、関心が向きやすいのです。

これに対して年金分割は、効果が表れるのが実際に年金を受給する将来であり、いますぐ手元にお金が入るわけではありません。そのため「とりあえず急がなくてよい」と後回しにされやすいのです。しかし、老後の収入を左右する制度であることを考えれば、その重要性は決して小さくありません。むしろ、目の前のお金にとらわれて年金分割を忘れてしまうと、長い目で見て大きな差になって返ってくることがあります。

よくある誤解として、年金を半分もらえる制度ではないと説明。分割の対象は婚姻期間中に納めた厚生年金の標準報酬の記録であり、受給額そのものを丸ごと半分にするのではなく将来の受給額を調整する仕組みだと紹介。
対象は厚生年金の部分だけだと説明するスライド。国民年金の基礎年金部分は対象にならず自営業者などは分割する記録が存在しない一方、専業主婦・主夫にとって年金分割は老後の生活を支える重要な制度になり得ると紹介。
年金分割が見落とされる理由として、効果が将来だから後回しにされやすいと説明。財産分与や慰謝料は離婚直後に現金や財産として受け取るため関心が向きやすいが、年金分割は効果が将来に表れるため後回しにされやすいと対比。

合意分割と3号分割の違い

年金分割には、大きく分けて合意分割3号分割の二つの仕組みがあります。

合意分割は、夫婦の合意(または裁判所の決定)によって、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。分割の割合は、当事者で話し合って決めますが、上限は2分の1とされています。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に按分割合を定めてもらうことになります。実務では、原則として2分の1とされることが一般的です。

3号分割は、いわゆる「国民年金の第3号被保険者」、つまり配偶者の扶養に入っていた期間について、相手の合意がなくても、請求すれば自動的に2分の1ずつに分割される制度です。ただし、対象となるのは平成20年4月1日以後の第3号被保険者期間に限られます。

この二つは、対象となる期間が重なる部分もあります。たとえば、婚姻期間が長く、平成20年4月より前から扶養に入っていたような場合は、平成20年4月より前の期間は合意分割で、それ以後の期間は3号分割で、というように整理して請求することになります。実際には、合意分割を請求すると、その中に3号分割の対象期間も含めて処理されるのが通常です。

どちらの仕組みが、どの期間に当てはまるのかは、個々の加入歴によって異なります。自分のケースでどう適用されるのか分かりにくいときは、年金事務所や専門家に確認するのが確実です。

2つの仕組みとして合意分割と3号分割を対比で紹介。合意分割は夫婦の合意または裁判所の決定で分割し割合の上限は2分の1、3号分割は扶養に入っていた期間について相手の合意なしに自動的に2分の1ずつ分割されると説明。

手続きの流れ(情報通知書から改定請求まで)

年金分割の手続きは、おおむね次のような流れで進みます。

  1. 年金分割のための情報通知書を取得する:年金事務所に「年金分割のための情報提供請求」を行い、情報通知書を取得します。ここには、分割の対象となる期間や、分割できる割合の範囲(按分割合の上限・下限)などが記載されており、話し合いの土台になります。
  2. 按分割合を決める:合意分割の場合、夫婦で割合を話し合います。多くは2分の1で合意します。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判で割合を定めてもらいます。
  3. 標準報酬改定請求を行う:割合が決まったら、年金事務所に対して「標準報酬改定請求(年金分割の請求)」を行います。これによって、厚生年金の記録が実際に改定されます。

合意分割では、原則として夫婦そろって、または合意内容を示す書類を添えて請求します。当事者間で割合を合意した場合は、その合意を公正証書や調停調書などの形で残しておくと、手続きが円滑です。3号分割のみであれば、扶養に入っていた側が単独で請求できます。

注意したいのは、情報通知書を取得しただけ、あるいは割合を合意しただけでは、年金分割は完了しないという点です。

最後の標準報酬改定請求まで行って、初めて手続きが完結します。話し合いがまとまった安心感から、最後の請求を忘れてしまうことのないよう気をつけてください。

実務でとくに気をつけたいのが、離婚の取り決めの中で「年金分割の割合を2分の1とする」と合意したものの、その後の標準報酬改定請求を放置してしまうケースです。

合意さえすれば自動的に分割されると思い込んでいると、最後の請求が抜け落ちてしまいます。年金分割の効果は、年金事務所への改定請求によって初めて生じますから、合意はあくまで途中段階だと理解しておく必要があります。離婚協議書や調停調書に年金分割について記載した場合でも、それとは別に年金事務所での手続きが必要になる、という点をぜひ覚えておいてください。

手続きの流れを3段階で提示するスライド。年金事務所で情報通知書を取得する、按分割合を決める、標準報酬改定請求を行うという順で進み、最後の請求を行って初めて厚生年金の記録が実際に改定されると説明している。
よくある落とし穴として、合意だけでは分割されないと説明。離婚協議書や調停調書に年金分割を記載してもそれとは別に年金事務所での改定請求が必要で、合意すれば自動で分割されると思い込むと請求が抜け落ちると注意喚起。

請求期限は原則「離婚後2年」|財産分与との違いに注意

年金分割で最も注意すべきなのが、請求期限です。

年金分割(標準報酬改定請求)は、原則として離婚をした日の翌日から2年以内に行わなければなりません。

この期限を過ぎると、原則として年金分割を請求できなくなります。

ここで強調しておきたいのが、財産分与の期間延長とは別制度だという点です。財産分与については、令和8年4月1日施行の改正で請求期間が2年から5年に延長されます。しかし、年金分割の2年という期限は、この改正とは関係なく、原則としてそのままです。

「財産分与が5年になったのだから、年金分割も5年だろう」と思い込んでしまうと、知らないうちに2年の期限を過ぎ、年金分割の機会を失ってしまうおそれがあります。両者はまったく別の制度であり、期限も別々に管理する必要があります。

  • 財産分与:令和8年4月1日以後の離婚は、請求期間5年(それ以前の離婚は2年)
  • 年金分割:原則として離婚後2年(改正の影響を受けない)

この違いは、実務でもとくに見落とされやすいところです。離婚の取り決めをする際には、財産分与・慰謝料・養育費などと並べて、年金分割も忘れずに検討し、できるだけ離婚と同時か、早い時期に手続きを済ませておくのが安全です。

当事務所は福井県大野市にございますが、年金分割を含む離婚の手続全般について、オンラインでのご相談を通じて全国の方に対応しています。

最も注意すべき点として、請求期限は原則離婚後2年だと大きく提示するスライド。離婚をした日の翌日から2年以内に標準報酬改定請求を行う必要があり、この期限を過ぎると原則として年金分割を請求できなくなると説明。
財産分与の5年とは別制度だと対比で説明。財産分与は令和8年4月1日以後の離婚なら請求期間5年になる一方、年金分割は原則として離婚後2年で改正の影響を受けないため、両者を混同しないよう注意喚起している。
安全な進め方として、離婚と同時か早い時期に済ませることを提示するスライド。財産分与・慰謝料・養育費と並べて年金分割も忘れずに検討すること、合意内容は公正証書や調停調書などの形で残しておくとよいと紹介。
長い目で見て目先のお金だけにとらわれないよう提示するスライド。年金分割は効果が表れるのが将来でも老後の収入を左右する制度で、加入歴が複雑だったり割合でもめたりするときは専門家の助けがあると安心だと説明。
年金分割で押さえる3点をチェックリスト形式で提示するスライド。年金額を半分にする制度ではなく厚生年金の記録を分け合う制度であること、合意だけでなく改定請求まで行うこと、請求期限は原則離婚後2年であることを列挙。

まとめ

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬を分け合う制度で、年金額そのものを半分にするものではありません。

合意分割と3号分割があり、情報通知書の取得、按分割合の決定、標準報酬改定請求という流れで進みます。

請求期限は原則として離婚後2年で、5年に延長された財産分与とは別制度ですから、混同しないよう注意が必要です。

この記事の要点を4点でまとめたスライド。年金分割は厚生年金の標準報酬を分け合う制度であること、合意分割と3号分割があること、改定請求まで行って初めて分割されること、請求期限は原則離婚後2年で財産分与とは別制度であることを列挙。

年金分割と財産分与で、期限が違うとは知りませんでした。危うく見落とすところでした。

Dさん

微笑

横田

ここはとても間違えやすいところです。年金分割は原則2年。財産分与の5年とは別だと、しっかり区別しておいてください。
手続きが少し複雑そうですが、自分でできるものでしょうか。

Dさん

微笑

横田

情報通知書の取得から改定請求まで、順番どおり進めれば対応できます。ただ、割合でもめたり、加入歴が複雑だったりするときは、専門家の助けがあると安心です。
離婚の話し合いと一緒に、年金分割も相談したいです。

Dさん

微笑

横田

ぜひそうしてください。財産分与や養育費と合わせて、全体として漏れのない取り決めにすることが大切です。遠方でもオンラインで対応しますので、お気軽にどうぞ。

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ご相談は、ご来所のほか、オンライン(ZOOM、Google Meetなど)でも承っております。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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