COLUMNコラム
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退職金・住宅ローン・自宅の分け方|分けにくい財産をどう清算するか
離婚 2026.07.17.

Dさん

横田

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横田

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退職金は財産分与の対象になるのか
退職金は、給与の後払い的な性格を持つお金です。
婚姻期間中の労働の対価が含まれている以上、夫婦が協力して築いた財産として、財産分与の対象になり得ます。
問題は「いつもらう退職金か」です。
まず、すでに受け取っている退職金については、そのうち婚姻期間に対応する部分が分与の対象になります。受け取った退職金が預貯金として残っていれば、その預貯金を清算するイメージです。
次に、まだ受け取っていない将来の退職金です。これは将来の話なので不確実ですが、支給される蓋然性が高いと認められる場合には、対象に含めて差し支えないとされています。たとえば、勤続年数が長く、勤務先の退職金制度が安定して運用されており、定年まで数年というような場合です。
逆に、転職が多い、勤務先の経営が不安定、定年までかなりの年数がある、といった事情があると、将来の退職金を見込むことが難しくなります。
公務員や大企業の会社員のように退職金制度が明確なケースでは、将来分も対象として扱われやすい傾向があります。一方、退職金規程のない会社や、支給の有無が不確実な場合は、慎重な判断が必要です。
なぜ退職金がここまで問題になるかというと、夫婦の財産の中で、退職金が大きな比重を占めることが少なくないからです。とくに婚姻期間が長く、預貯金や不動産といった目に見える財産が多くない家庭では、退職金が事実上いちばんの「資産」であることもあります。それを財産分与の対象から外してしまうと、清算の公平さが大きく損なわれかねません。だからこそ、まだ受け取っていない退職金であっても、見込みがある程度確実なら対象に取り込もう、という考え方がとられているのです。
退職金の存在を見落としたまま離婚の取り決めをしてしまうと、後で大きな差が生じることもあります。



退職金の分け方と計算の考え方
将来の退職金を分与の対象とする場合、その全額が対象になるわけではありません。
婚姻期間に対応する部分だけが、夫婦の協力で築かれた財産だからです。
結婚前の勤務期間や、別居後の勤務期間に対応する部分は、原則として対象外と考えます。
一般的な計算は、勤続年数のうち婚姻期間が占める割合で按分する方法です。
考え方をおおまかに示すと、次のようになります。
- 基準時(多くは別居時または離婚時)に自己都合で退職したと仮定した退職金額を求める
- その金額のうち、勤続年数に占める婚姻期間の割合を掛けて、婚姻期間対応分を算出する
- その対応分を、原則2分の1ずつ分ける
たとえば勤続30年のうち婚姻期間が20年であれば、退職金見込み額の3分の2が対象となり、さらにその半分が一方の取り分の目安になる、というイメージです。
実際の清算では、退職金がまだ手元にないため、いつ・どのように支払うかが論点になります。離婚時に他の財産から精算する、退職金が現実に支給されたときに支払う約束をする、といった方法が考えられます。将来支払いの約束をする場合は、相手方が約束を守らないリスクに備え、合意内容を公正証書にしておくなどの工夫が望まれます。
退職金の有無や見込み額は勤務先の制度によって大きく異なりますので、勤務先の退職金規程を確認することが第一歩です。

住宅ローンと自宅をどう評価するか
自宅不動産が財産分与の対象になる場合、まず把握すべきは自宅の時価と住宅ローンの残債の二つです。この二つを突き合わせて、初めて「自宅にどれだけの価値が残っているか」がわかります。
- 時価がローン残債を上回る場合 → 差額がプラスの財産(純資産)となり、分与の対象になります。
- 時価がローン残債を下回る場合 → いわゆるオーバーローンで、売っても借金が残る状態です。この場合、自宅にはマイナスしかなく、財産分与の対象としての価値はないと評価されることが多くなります。
時価は、不動産会社の査定や、必要に応じて不動産鑑定によって把握します。ローン残債は、金融機関の発行する残高証明書などで確認できます。
ここで注意したいのが、名義と連帯保証・連帯債務の問題です。自宅の名義が夫単独でも、妻が連帯保証人や連帯債務者になっているケースは珍しくありません。離婚して家を出ても、連帯保証の責任は当然には消えません。夫が返済を滞らせれば、家を出た妻に金融機関から請求が及ぶ可能性があるのです。
さらに、住宅ローンが残っている自宅は、金融機関の同意なしに名義や債務者を勝手に変更することができません。「妻が住み続けるから名義も妻に移そう」と当事者間で合意しても、ローン契約上はそう簡単にいかないのが実情です。住宅ローンは、借りる人の収入や信用力を審査したうえで貸し出されています。金融機関からすれば、返済を担う人が変わることは契約の前提が変わることを意味しますから、簡単には認めてもらえないのです。
この点を見落としたまま「家のことは二人で決めたから大丈夫」と思い込んでいると、いざ手続きを進めようとした段階で行き詰まります。自宅の清算を考えるときは、当事者間の合意だけでなく、金融機関がどう判断するかを早い段階で確認しておくことが欠かせません。



自宅に住み続けるか、売却するか
自宅をどう清算するかは、大きく分けて「住み続ける」か「売却する」かの二択になります。
◎売却する場合は、比較的すっきりします。自宅を売り、ローンを完済したうえで、残った金額を分け合います。オーバーローンであれば、残った借金の負担をどうするかを話し合うことになります。売却は、離婚後に相手方とローンや名義の関係を引きずらずに済むという利点があります。
◎住み続ける場合は、いくつかの調整が必要です。たとえば妻が子どもとともに自宅に住み続けたいとき、
- 名義を妻に変えるのか、夫名義のままにするのか
- ローンを誰が返済し続けるのか
- 妻が連帯保証人のままでよいのか
- 住み続ける代わりに、他の財産で夫に清算金を渡すのか
といった点を一つずつ詰めていきます。とくに、ローンが残ったまま夫名義の家に妻が住み続ける形は、後々トラブルになりやすい組み合わせです。夫が返済を止めれば家を失うおそれがあり、妻が連帯保証人なら借金だけが残ることもあります。
理想は、ローンを借り換えて名義と債務者を整理し、保証関係も解消することですが、これは妻自身の収入や信用力次第で、必ずしも実現できるとは限りません。だからこそ、自宅をめぐる清算は早い段階で全体像を描き、金融機関とも相談しながら進める必要があります。
実務では、住み続けることにこだわるあまり、結果的に重い負担を背負ってしまう例も見受けられます。たとえば、子どもの学校環境を変えたくないという理由で無理に自宅を残したものの、ローンの負担が生活を圧迫してしまうケースです。住み慣れた家を手放すのは確かにつらい決断ですが、長い目で見れば、いったん売却して身軽になり、新たな生活を組み立てたほうが安定する場合もあります。
どちらが正解ということはなく、ご自身の収入、子どもの状況、相手方との関係などを総合して判断することになります。
当事務所では、こうした分けにくい財産の清算についても、全国の方からのご相談をオンラインで承っています。




まとめ
退職金は将来分も蓋然性が高ければ対象となり、勤続年数に占める婚姻期間の割合で按分するのが基本です。
自宅は時価とローン残債を突き合わせて評価し、オーバーローンなら価値なしと判断されることもあります。
住み続けるにせよ売却するにせよ、名義・連帯保証・金融機関の同意が絡む点に注意が必要です。


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横田

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