COLUMNコラム
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【財産分与②】請求できる期間が2年から5年に延長|令和8年改正のポイントと注意点
離婚 2026.07.16.

Cさん

横田

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横田

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財産分与の請求期間が「2年から5年」へ
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚に際して公平に分け合う制度です。
預貯金、不動産、保険、退職金などが対象になります。
この財産分与には、これまで離婚のときから2年という請求期間の制限がありました。法律上は「除斥期間」と呼ばれるもので、2年を過ぎると原則として家庭裁判所に分与を求めることができなくなる、厳しい区切りです。
令和8年4月1日に施行された改正民法では、この期間が離婚のときから5年へと延長されました(民法768条2項ただし書)。
なぜ延長されたのか。背景には、離婚直後は生活の立て直しや子どもの環境整備に追われ、財産分与までなかなか手が回らないという実情があります。
気づいたときには2年が過ぎていた、というケースが少なくありませんでした。とくに、相手方が財産の内容を明らかにしないまま時間が経過してしまうと、2年という期間はあまりに短いという指摘がありました。
5年に延びることで、離婚後の生活が落ち着いてから腰を据えて協議や調停に臨める余地が広がります。これは、離婚に伴う経済的な不利益を受けやすい立場の方を保護する方向の改正だと理解してよいでしょう。
なお、この期間は「話し合いを始められる期間」ではなく、「家庭裁判所に分与を請求できる期間」です。
当事者同士の協議で合意できるのであれば、期間の制限とは別に随時進めて構いません。問題になるのは、協議がまとまらず調停・審判という法的手続に乗せる必要が出てきたときです。その入口の期限が、2年から5年になるということです。
実務の現場では、離婚を急ぐあまり、財産分与の話し合いを後回しにして「とりあえず別れてしまう」というケースをよく目にします。離婚そのものは離婚届一枚で成立しますが、財産の清算はそう簡単には片づきません。別れた後で「あの預貯金はどうなるのか」「あのときの保険は」と気づいたときに、頼りになるのがこの請求期間です。2年から5年への延長は、こうした後追いの清算に、これまでより現実的な時間的余裕を与えるものだといえます。とはいえ、後で詳しく述べるとおり、余裕があることと、放っておいてよいことは別の話です。


いつの離婚から5年が使えるのか(経過措置)
ここが最も誤解の多いところです。
5年が適用されるのは、施行日である令和8年4月1日以後に離婚が成立した場合です。
つまり、
- 令和8年4月1日以後に離婚した方 → 請求期間は5年
- 令和8年3月31日以前に離婚した方 → 従来どおり請求期間は2年
という区切りになります。
施行日より前に離婚が成立していると、たとえ施行日の直前であっても、原則として2年のルールがそのまま適用されます。「もうすぐ改正されるから、自分も5年使えるはず」と考えてしまうと、思わぬ時間切れを招きかねません。
たとえば、令和7年の夏に離婚した方の場合、改正の施行を待っている間に2年の期限が近づいてくることになります。この方は5年の恩恵を受けられませんので、令和9年夏までに手続をとる必要があります。一方、令和8年4月1日以後に離婚する方であれば、5年間という余裕のある期間が与えられます。
ご自身がどちらに当たるのか、まずは離婚成立日を正確に確認することが出発点になります。
協議離婚であれば離婚届が受理された日、調停離婚であれば調停成立の日、裁判離婚であれば判決確定の日などが基準です。微妙な時期に離婚された方は、自己判断せず一度専門家に確認されることをおすすめします。
当事務所は福井県大野市にございますが、オンラインでの相談も承っておりますので、お住まいの地域を問わずご利用いただけます。
経過措置に関してもう一点付け加えると、「施行日以後の離婚から5年」という線引きは、施行日をまたいで離婚を検討している方にとっては、タイミングの問題を生むことがあります。たとえば、離婚の話し合いがちょうど施行日の前後にかかっているような場合、いつ離婚届を出すかによって、後で財産分与に使える期間が2年か5年かで変わってくるわけです。もっとも、財産分与の請求期間だけを理由に離婚の時期を決めるのは本末転倒ですし、慰謝料や養育費、年金分割など他の要素との兼ね合いもあります。
期間の長短は判断材料の一つにすぎないと心得つつ、ご自身の状況に当てはめて見通しを立てておくとよいでしょう。



2分の1ルールなど考慮要素の明確化
今回の改正では、請求期間の延長と合わせて、財産分与の額や方法を定める際に考慮すべき事情が条文上で整理されました。
実務では従来から、夫婦が築いた財産は原則として2分の1ずつ分けるという「2分の1ルール」が定着していました。専業主婦(主夫)であっても、家庭を支えた貢献は財産形成への寄与として評価され、原則は半分ずつという考え方です。改正は、こうした実務上の運用を踏まえ、財産の取得や維持についての双方の寄与の程度を考慮することなどを明確にしています。
考慮される主な事情としては、次のようなものが挙げられます。
- 夫婦が協力して取得・維持した財産の額やその寄与の程度
- 婚姻期間の長短
- 離婚後の生活状況や経済力の差
- その他、財産分与を相当とするための一切の事情
ポイントは、寄与の程度について特段の事情がなければ2分の1とするという考え方が、より明確に位置づけられたことです。
これにより、「自分のほうが収入が多かったのだから取り分も多いはずだ」といった主張が、当然には通らないことがはっきりします。
もっとも、財産分与には、夫婦の財産を清算するという側面のほか、離婚後の生活を支える扶養的な側面、有責配偶者に対する慰謝料的な側面が含まれることもあります。すべてが機械的に半分になるわけではなく、事案ごとの事情によって調整される点は、改正後も変わりません。
なお、考慮要素が条文上明確になったことは、当事者にとっても一つの安心材料になります。何を基準に分けるのかがはっきりしていれば、相手方が一方的に有利な主張をしてきても、それが法律の考え方に沿ったものかどうかを判断しやすくなるからです。
逆にいえば、特別な事情もないのに「自分が稼いだお金だから」と半分以上を要求されたときには、改正後の枠組みを踏まえて、原則は2分の1であると冷静に切り返すことができます。
こうした目安があることは、感情的になりがちな離婚の協議において、話し合いを建設的な方向へ導く支えになります。


期間が延びても早期着手が有利な理由
「5年に延びたのなら、急がなくてよい」と考えたくなりますが、実務の感覚としてはむしろ逆です。
財産分与は、早く動いたほうが有利になる場面が圧倒的に多いのです。
理由はいくつかあります。
第一に、財産は時間とともに動いてしまうことです。
離婚後、相手方が預貯金を使ってしまったり、不動産を売却したり、名義を変えたりすると、いざ分与を求める段階で対象財産が手元に残っていない、ということが起こります。形式的に請求権が残っていても、分けるべき財産そのものが消えていては実益がありません。
第二に、証拠が散逸することです。
財産分与では、相手方がどれだけの財産を持っているかを把握することが何より重要です。通帳の取引履歴、保険の証券、退職金の見込み額など、時間が経つほど確認が難しくなり、記憶も薄れます。
第三に、相手方の協力が得にくくなることです。
離婚から年月が経つほど、相手方は新しい生活に移り、財産分与の話に応じる動機を失っていきます。任意の開示が得られなければ、調停や審判で一つひとつ立証していくほかなく、負担が大きくなります。 ですから、5年という期間は「いざというときの安全網」と捉え、実際の取り組みはできるだけ早く始めるのが賢明です。
延長は、準備を怠ってよいという意味ではなく、不測の事情で出遅れた方を救うための余裕だとお考えください。



まとめ
財産分与の請求期間は令和8年4月1日施行の改正で2年から5年へ延長されますが、5年が使えるのは施行日以後に離婚した場合に限られ、それ以前の離婚は従来どおり2年のままです。
期間が延びても、財産の散逸や証拠の喪失を防ぐため、早期に着手することが有利である点は変わりません。



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横田

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