COLUMNコラム
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【財産分与①】財産分与の対象になるもの・ならないもの
離婚 2026.07.15.

Dさん

横田

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財産分与の基本的な考え方
財産分与とは、離婚に際して、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、公平に分け合う手続です。
ここでの基本的な考え方は、結婚している間に増えた財産は、夫婦が協力して築いたものとみなす、というものです。たとえ一方が外で働いて収入を得て、もう一方が家庭を支えていたという形であっても、それは夫婦が役割を分担して財産形成に寄与したと評価されます。
専業主婦・主夫の方であっても、財産分与を求める権利があるのはこのためです。
そして重要なのが、財産分与は財産の「名義」で決まるのではないという点です。
預金口座が夫名義であっても、不動産の登記が夫名義であっても、それが結婚後に夫婦の協力で築かれた財産であれば、財産分与の対象になります。「自分名義ではないから関係ない」とあきらめてしまうのは大きな誤りです。
分け方の割合については、夫婦の貢献度に応じて決めるのが原則ですが、実務上は2分の1ずつとするのが一般的です。共働きか片働きかにかかわらず、原則として対等に分けるという考え方が広く採られています。
これを「2分の1ルール」と呼ぶこともあります。
ただし、常に2分の1になるとは限りません。
たとえば、一方が特殊な才能や努力によって、通常では考えられないほど高額な財産を築いたといった例外的な事情があれば、割合が修正されることもあります。とはいえ、こうした修正が認められるのは限られた場面であり、多くのケースでは2分の1を出発点に考えて差し支えありません。
「自分は専業主婦だったから、もらえる割合は少ないのではないか」と心配される方がいますが、家事や育児によって家庭を支えた貢献も、収入を得た貢献と同じく評価されるのが原則です。


財産分与の「対象になるもの」
それでは、具体的に何が財産分与の対象になるのでしょうか。
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産(これを「共有財産」と呼びます)が対象となり、代表的なものは次のとおりです。
- 預貯金:夫婦どちらの名義であっても、結婚後に貯えた預貯金は対象です。
- 不動産:自宅の土地・建物などです。住宅ローンが残っている場合は、その扱いも含めて検討します。
- 自動車:結婚後に購入した車も対象になります。
- 生命保険などの解約返戻金:掛け捨てでない保険で、解約すれば戻ってくるお金(解約返戻金)がある場合、その金額が対象になります。
- 退職金:一定の条件のもとで対象になり得ます。すでに支給された退職金はもちろん、将来支給される予定の退職金についても、婚姻期間に対応する部分が対象とされることがあります。勤続年数や支給の確実性などによって扱いが変わるため、慎重な検討が必要な項目です。
- 有価証券:株式や投資信託など、結婚後に取得したものが対象です。
このほか、住宅ローンや自動車ローンなどの「マイナスの財産」も、財産分与を考えるうえでは無視できません。プラスの財産から差し引いて、最終的に分け合う額を計算するのが基本的な考え方です。
たとえば、自宅の評価額より住宅ローンの残額のほうが多い、いわゆるオーバーローンの状態であれば、扱いが複雑になります。
このように、財産分与の対象は預貯金や不動産だけではありません。
保険や退職金、有価証券、さらには負債まで含めて、全体を見渡す必要があります。とくに保険や退職金は、ご本人も「これが対象になるとは思わなかった」と見落とされがちな項目です。
離婚の話し合いの際に、こうした財産を漏れなく洗い出すことが、適正な財産分与の第一歩になります。
相手が財産を隠していないかという点も、注意して確認すべきポイントです。


財産分与の「対象にならないもの」
一方で、結婚していた間に存在した財産であっても、財産分与の対象から外れるものがあります。
これを「特有財産」と呼びます。
夫婦の協力とは関係なく、一方が個人的に取得・所有している財産だからです。
代表的なものは次のとおりです。
- 婚前財産:結婚する前から各自が持っていた財産です。結婚前から貯めていた預金や、独身時代に購入した不動産などがこれにあたります。
- 相続や贈与で得た財産:結婚後であっても、親などから相続したり、贈与を受けたりした財産は、夫婦の協力で築いたものではないため、対象外です。たとえば、親が亡くなって相続した実家や預金などがこれにあたります。
- 個人的な使用物:その人だけが使う身の回りの品など、個人的な性格の強いものも、原則として対象外と考えられます。
冒頭のご相談にあった「自分名義のへそくり」については、注意が必要です。
原資が結婚後の夫婦の収入である場合には、たとえ自分名義で貯めていたものであっても、共有財産として財産分与の対象になり得ます。
「自分のものだから関係ない」とは必ずしも言えないのです。
このように、対象になるか・ならないかの区別は、必ずしも単純ではありません。とくに、婚前から持っていた財産と、結婚後に増えた財産とが混ざっている場合や、特有財産を元手に新たな財産を築いた場合などは、判断が難しくなります。こうしたケースでは、専門的な検討が欠かせません。



いつの時点の財産を分けるのか——基準時と評価
財産分与を考えるうえで、もう一つ重要なのが「いつの時点の財産を分けるのか」という問題です。
これを「基準時」といいます。
財産分与の対象となる財産は、原則として「別居時」を基準に確定されます。つまり、別居した時点で夫婦が持っていた共有財産が、分与の対象になるのが基本です。
なぜ離婚時ではなく別居時なのでしょうか。
それは、別居した後は、夫婦が協力して財産を築く関係が事実上終わっていると考えられるからです。別居後にそれぞれが自分の収入で貯えたお金は、もはや夫婦の協力によるものとはいえません。そのため、別居の時点を区切りとして、それまでに築かれた財産を分けるのが公平だと考えられているのです。
この基準時の考え方は、実務上とても重要です。別居した日がいつだったのかによって、対象となる財産の範囲が変わってくるからです。別居の時期があいまいだと、対象財産の確定をめぐって争いになることもあります。
さらに、もう一つの争点になりやすいのが「評価」です。
不動産や有価証券、保険の解約返戻金などは、金額が一定ではなく、いつの時点でどう評価するかによって、分与額が大きく変わります。とくに不動産は、評価の方法によって金額に幅が出やすく、もめやすい財産の一つです。退職金についても、どの範囲をどう評価するかが問題になります。
このように、財産分与は「何が対象か」を確定する段階と、「それをいくらと評価するか」を決める段階の、双方で慎重な検討が必要です。
適正な財産分与を実現するには、早い段階で財産の全体像を把握し、評価の見通しを立てておくことが大切です。



まとめ
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、名義にかかわらず公平に分ける手続です。
預貯金・不動産・自動車・保険の解約返戻金・退職金(条件付き)・有価証券などが対象となり、婚前財産や相続・贈与で得た特有財産、個人的な使用物は対象外です。
対象となる財産は原則として別居時を基準に確定され、その評価が争点になりやすいため、早めに全体像をつかんでおくことが大切です。



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横田

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