COLUMNコラム

もっと身近な法律を。横田秀俊法律事務所のコラムをお届けします。

  1. TOP
  2. COLUMN
  3. 【共同親権③】DV・モラハラがある場合|共同親権は避けられるのか

【共同親権③】DV・モラハラがある場合|共同親権は避けられるのか

離婚 2026.07.10.

【共同親権③】DV・モラハラがある場合|共同親権は避けられるのか
元夫からのモラハラに長く苦しんできました。離婚はしたいのですが、共同親権が始まると聞いて、あの人とずっと子どものことで関わり続けなければならないのかと、こわくてたまりません。

Cさん

微笑

横田

そのお気持ち、当然のことです。まずはっきりお伝えします。DVや虐待があり、共同で親権を行うことが子の利益を害すると認められる場合には、家庭裁判所は単独親権を定めます。共同親権が強制されるわけではありません。
そうなのですね。でも、私の場合は殴られたわけではなく、言葉や態度で追い詰められてきました。それでも考慮してもらえるのでしょうか。

Cさん

微笑

横田

もちろんです。身体的な暴力に限らず、モラハラや経済的な支配といった精神的・経済的なDVも、判断の対象になります。ただ、形に残りにくい分、証拠の示し方には工夫が要ります。
相手と直接やり取りするのも苦痛で、手続きを進められる自信がありません。

Cさん

微笑

横田

ご安心ください。弁護士が窓口になれば、あなたが相手と直接やり取りせずにすみます。安全を確保しながら進める方法を、一緒に考えていきましょう。
この記事でわかることとして、DV・虐待がある場合は共同親権が強制されないこと、モラハラ・経済的支配も判断対象になり証拠の集め方に工夫が必要なこと、弁護士が窓口になり安全に手続きを進める方法の3点を紹介。

DV・虐待があるとき、共同親権は強制されない

令和8年4月から共同親権を選べるようになることで、DVやモラハラ、虐待に苦しんできた方が「これからも加害者である元配偶者と関わり続けなければならないのか」と強い不安を抱えるのは、無理もないことです。

しかし、まず安心していただきたい点があります。

共同親権は、いかなる場合にも強制される制度ではありません

とりわけ、DVや虐待があるケースについては、無理に共同親権とすることは想定されていません。

新しい制度は、「離婚後も双方の親が子の養育に関わり続けることが、子のためになる」という前提に立っています。しかし、一方の親から他方の親や子へのDV・虐待があるような場合には、この前提そのものが成り立ちません。むしろ、加害者と被害者を親権を通じて結びつけ続けることは、被害者や子をさらなる危険にさらすおそれがあります。

そこで法律は、DVや虐待があるなど、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められる場合には、家庭裁判所は単独親権を定めなければならないとしています。

つまり、こうしたケースでは、単独親権が原則的な対処となるのです。

協議離婚であれば、まず父母の話し合いで親権の形を決めますが、DVや虐待がある関係では、対等な話し合いそのものが難しいことが少なくありません。そうした場合は、無理に協議で合意しようとせず、家庭裁判所の手続きを通じて、単独親権を求めていくことになります。

「共同親権が始まるから、加害者と関わり続けるしかない」というのは誤解です。

子と自分の安全を守るために、単独親権を選ぶ道は、制度上きちんと確保されています

この点を、まず知っておいてください。

実際、この改正をめぐっては、「DV被害者が加害者から逃れられなくなるのではないか」という懸念が、制度づくりの過程でも繰り返し議論されてきました。その結果、DVや虐待があるケースでは単独親権とすることが、制度の中にしっかりと位置づけられています。つまり、被害を受けてきた方の安全を守ることは、この制度が当然に予定している前提なのです。怖がって声を上げられないまま不利な結論を受け入れてしまう、ということがないよう、まずは「守られる道がある」と知ることから始めてください。

DV・虐待がある場合、共同親権は強制されないという結論を提示。共同で親権を行うことが困難と認められれば家庭裁判所は単独親権を定めるとされ、安全を守るための単独親権という選択肢が制度上確保されていると説明。
DV・虐待があるケースでなぜ単独親権が原則的な対処になるのかを説明。共同親権の前提が成り立たないこと、親権による結びつきが被害者や子をさらなる危険にさらすおそれがあることを述べ、家庭裁判所の手続きで単独親権を求める流れを紹介。

家庭裁判所の判断基準は「子の利益」

では、家庭裁判所はどのような基準で、共同親権とするか単独親権とするかを判断するのでしょうか。

その答えは、一貫して「子の利益」です。

家庭裁判所は、父母のどちらの希望が強いかではなく、子にとって何が最も望ましいかという観点から判断します。そして、DVや虐待がある場合、それは子の利益を考えるうえで決定的に重要な事情として扱われます。

たとえば、次のような事情があるとき、共同親権はふさわしくないと判断されやすくなります。

  • 一方の親から他方の親への身体的・精神的な暴力(DV)があった
  • 一方の親から子への虐待があった
  • 父母の対立が深刻で、子の養育について冷静に協力して話し合うことが期待できない
  • 共同で親権を行うことが、かえって子を不安定な状況に置く

これらの事情が認められる場合、家庭裁判所は「共同して親権を行うことが困難である」あるいは「子の利益を害する」と判断し、単独親権を定めます

ここで強調しておきたいのは、DVや虐待の被害は、必ずしも目に見える傷として残るとは限らない、ということです。配偶者からの暴力は、身体的なものだけでなく、言葉や態度による精神的なもの、生活費を渡さないといった経済的なものなど、さまざまな形をとります。家庭裁判所の判断においても、こうした多様な形の支配や暴力が考慮の対象になります。

子の利益を守るために、自分や子が置かれてきた状況を、家庭裁判所にきちんと伝えること。

これが何より大切です。そのための具体的な工夫を、次の章で見ていきましょう。

共同親権がふさわしくないと判断されやすい事情として、DV、子への虐待、父母の深刻な対立で冷静な話し合いが期待できないこと、共同親権が子を不安定にすることを列挙し、該当時は単独親権を定めると説明。
DVは身体的暴力に限らないと説明。人格否定や過度な束縛などのモラハラ、生活費を渡さないなどの経済的支配、交友関係を断たせる社会的隔離も深刻な行為として家庭裁判所の判断で考慮されると解説。

身体的暴力に限らない|モラハラ・経済的支配と証拠の工夫

DVというと、殴る・蹴るといった身体的な暴力を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、配偶者からの暴力は、身体的なものに限られません

次のような形のものも、家庭裁判所の判断において評価の対象になります。

  • モラハラ(精神的暴力):人格を否定する暴言、無視、過度な束縛、脅し、絶え間ない非難など
  • 経済的支配:生活費を渡さない、収入を独占する、お金の使い道を細かく監視・制限するなど
  • 社会的隔離:交友関係を断たせる、外出や連絡を制限するなど

これらは、身体への暴力と同じく、被害者を追い詰め、支配する深刻な行為です。共同親権がふさわしいかを判断するうえでも、当然に考慮されます。

ただし、ここで一つの課題があります。

それは、こうした精神的・経済的な暴力は、身体的暴力に比べて形に残りにくく、証拠を示すのが難しいという点です。

あざや診断書のような分かりやすい証拠がない分、被害を客観的に裏づける工夫が必要になります。

証拠として有効になり得るものには、たとえば次のようなものがあります。

  • 暴言や脅しのやり取りが残るメールやLINE、SNSのメッセージ
  • 録音した音声(会話の記録)
  • 出来事を日付とともに記録した日記やメモ
  • 第三者(家族、友人、職場、相談機関など)への相談の記録
  • 配偶者暴力相談支援センターや警察、自治体の相談窓口に相談した履歴
  • 心身の不調で通院した場合の医療記録

これらは、一つひとつは小さくても、積み重ねることで被害の実態を浮かび上がらせる力をもちます。

どのような事実を、どの証拠で、どう組み立てて主張するかは、結果を大きく左右する専門的な部分です。何が証拠になるのか分からない、どう集めればよいか分からない、という段階でこそ、早めに専門家に相談する意味があります。

なお、証拠集めにあたっては、ご自身の安全を最優先にしてください。相手を刺激して、かえって危険な状況を招くことは避けなければなりません。すでに別居している場合でも、相手に気づかれないよう、また安全な範囲で記録を残すことが大切です。何をどこまで集めるべきか迷ったときは、自己判断で動く前に、弁護士や各自治体の配偶者暴力相談支援センターなどの専門窓口に相談してから進めると安心です。

また、過去のことだから今さら証拠は残っていない、とあきらめる必要もありません。当時のメールやメッセージが端末やクラウドに残っていたり、相談した相手の記憶が証言につながったりすることもあります。「これは証拠にならないだろう」と自分で判断して捨ててしまう前に、まずは専門家に見てもらうことをおすすめします。

証拠として有効になり得るものを列挙。暴言や脅しが残るメールやメッセージ、録音、日付入りの日記やメモ、家族や相談機関への相談記録、配偶者暴力相談支援センターや警察への相談履歴、通院の医療記録を紹介。
証拠集めではご自身の安全を最優先にするよう注意喚起。相手を刺激して危険を招くことを避け、何を集めるべきか迷ったら自己判断せず弁護士や配偶者暴力相談支援センターに相談してから進めることを勧める。
今さら証拠は残っていないと決めつけないよう促す。当時のメールが端末やクラウドに残っている場合や相談相手の記憶が証言になり得ること、自己判断で捨てず専門家に見てもらう大切さを説明。

弁護士が窓口になり、安全に手続きを進める

DVやモラハラのある関係で離婚や親権の手続きを進めるとき、被害を受けてきた方が最も恐れるのは、「加害者と直接やり取りしなければならないこと」です。

しかし、ここに弁護士に依頼する大きな意味があります。

弁護士が代理人として窓口になれば、相手とのやり取りはすべて弁護士を通じて行われ、依頼者が加害者と直接顔を合わせたり、連絡を取り合ったりする必要がなくなります

これは、心身の安全を守るうえで、非常に大きな意味をもちます。

弁護士が関与することで、たとえば次のような支援が可能になります。

  • 相手方との交渉・連絡をすべて代理し、依頼者が直接対応せずにすむようにする
  • 家庭裁判所の調停・審判の手続きを代理人として進める
  • DVやモラハラの実態を、証拠とともに法的に整理して主張する
  • 単独親権を求める申し立てや、子の利益を守るための主張を組み立てる
  • 必要に応じて、保護命令など身の安全を守る制度の利用を検討する

DVや虐待がある場合、家庭裁判所も子の安全に十分に配慮した運用を行いますが、被害者自身がその仕組みを一人で使いこなすのは容易ではありません。

弁護士という専門家が間に立つことで、安全を確保しながら、子の利益を守る手続きを着実に進めることができます

「もう一人では抱えきれない」「相手と関わるのがこわい」という状況こそ、専門家を頼っていただきたい場面です。当事務所は福井県大野市にございますが、オンライン相談(ZOOM、Google Meetなど)にも対応しており、地域を問わず全国のご相談を承っています。

遠方にお住まいの方や、外出に不安のある方でも、ご自宅から安全に相談していただけます。

DVやモラハラに苦しんできた方が、子とともに安心して新しい生活を始められるよう、私たちは力を尽くします。どうか一人で抱え込まず、声を上げてください。

弁護士が窓口になれば相手と直接やり取りせずにすむと説明。交渉や調停・審判の代理、DV・モラハラの実態を証拠とともに法的に整理した主張、単独親権の申立て、保護命令の検討支援を紹介。
一人では抱えきれないときこそ専門家に頼るよう呼びかけ。家庭裁判所の仕組みを一人で使いこなす難しさ、専門家が間に立つ安心感、オンライン相談で自宅から安全に相談できることを説明。

まとめ

DVや虐待があり、共同で親権を行うことが困難な場合、家庭裁判所は子の利益を基準に単独親権を定めます。

身体的暴力に限らず、モラハラや経済的支配も評価の対象ですが、形に残りにくい分、証拠の示し方に工夫が要ります。

弁護士が窓口になれば、加害者と直接やり取りせず、安全に手続きを進められます。

記事の要点をまとめて提示。DV・虐待時は家庭裁判所が単独親権を定めること、モラハラ・経済的支配も判断対象になること、記録の積み重ねと安全確保の大切さ、弁護士が窓口になる利点を整理し、声を上げるよう呼びかける。
共同親権シリーズ全3回を紹介。第1回は共同親権と単独親権どちらを選ぶべきか、第2回は共同親権で変わる日常の決定と重要事項の線引き、第3回が本記事のDV・モラハラと共同親権について。

DVがあれば共同親権は強制されない、と知って、ようやく少し息がつけました。

Cさん

微笑

横田

それが一番お伝えしたかったことです。子と自分の安全を守るために、単独親権を選ぶ道はきちんと用意されています。
私のように殴られたわけではない場合でも、モラハラや経済的なことを考慮してもらえるのですね。

Cさん

微笑

横田

ええ。ただ、形に残りにくいので、メールや記録を少しずつ集めておくことが力になります。何が証拠になるかは、一緒に整理していきましょう。
相手と直接やり取りせずに進められる、というのも本当に心強いです。

Cさん

微笑

横田

弁護士が窓口になりますから、あなたが矢面に立つ必要はありません。安全を最優先に進めます。全国どこからでもオンラインで承りますので、どうか一人で抱え込まないでくださいね。
事務所の相談案内。迷っている段階の相談も歓迎とし、来所・オンライン相談で全国対応、相談料30分5,500円(税込)、カード・QR決済可(PayPay不可)と案内。弁護士法人横田秀俊法律事務所、福井県大野市城町8番6号、電話0779-64-4099。
アバター画像

監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

pagetop