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【共同親権②】共同親権だと何が変わる?日常の決定と「重要事項」の線引き

離婚 2026.07.10.

【共同親権②】共同親権だと何が変わる?日常の決定と「重要事項」の線引き
共同親権を選んだ場合、子どものことを何でもかんでも、いちいち元配偶者と相談して決めなければならないのでしょうか。それでは日常生活が回らない気がします。

Dさん

微笑

横田

そのご心配はよく分かります。でも、安心してください。日常の細々したことまで、いちいち二人で決める必要はないんです。日常の監護や教育は、原則として一緒に暮らしている親が単独で行えます。
そうなんですね。では、二人で決めなければならないのは、どういうことなのでしょうか。

Dさん

微笑

横田

進学先や、重要な医療、転居といった「重要事項」については、原則として父母が共同で決めることになります。日常のことと重要なことの線引きが、ポイントになります。
もし、その重要なことで意見が食い違ったら、どうなるのですか。

Dさん

微笑

横田

そこが多くの方が不安に思うところですね。意見が対立して決められないときは、家庭裁判所が間に入って判断する仕組みがあります。その点も含めて、順番に整理していきましょう。
この記事でわかることとして、共同親権でも日常の細々したことまで二人で決めるわけではないこと、同居親が単独でできる「日常」と共同で決める「重要事項」の線引き、意見が対立したときや緊急のときの仕組みという3点を紹介する。

共同親権で「変わること」と「変わらないこと」

令和8年4月から共同親権を選べるようになりますが、「共同親権だと、生活が窮屈になるのではないか」という不安の声をよく耳にします。

実際のところ、何が変わって、何が変わらないのでしょうか。

共同親権を選ぶと、子どもに関する決定を、父母双方が親権者として担うことになります。

これが「変わること」の核心です。

離婚しても、双方の親が子の養育に責任をもって関わり続ける、という考え方です。

しかし、ここで誤解してはならないのは、「子どもに関するすべてを、いちいち二人で相談して決めなければならない」わけではないという点です。もしそうであれば、毎日の食事や買い物、ちょっとした予定まで元配偶者に確認することになり、日常生活が立ち行かなくなってしまいます。法律は、そのような不合理な事態を想定していません。

新しい制度では、子どもに関する事柄を、おおまかに次の二つに分けて整理します。

  • 日常の監護・教育に関する事柄:原則として、子と一緒に暮らしている親(同居親)が単独で決められる
  • 子の進学・重要な医療・転居などの重要事項:原則として、父母が共同で決める

つまり、「変わらないこと」は、日常の細かな世話や判断を、一緒に暮らす親が自分の判断で行える、という点です。一方で「変わること」は、子の将来を大きく左右するような重要な決定について、もう一方の親も関与する、という点です。

この線引きが設けられているのには、はっきりした理由があります。もし日常のあらゆる判断に双方の同意が必要だとすれば、子と暮らす親は身動きが取れなくなり、かえって子の生活が不安定になってしまいます。逆に、子の人生を左右する重要な決定まで一方の親が独断で進められるとすれば、もう一方の親が親権者である意味が失われます。日常は機動的に、重要事項は慎重に——この二段構えの仕組みは、子の生活の安定と、双方の親の関与の両立をはかるための工夫なのです。

この線引きを正しく理解しておくことが、共同親権をめぐる不安を和らげる第一歩になります。次の章から、それぞれを具体的に見ていきましょう。

子に関する事柄は日常の監護・教育と重要事項という2つに分けて考えると示す図。日常は同居親が単独で決められ、進学・医療・転居等の重要事項は父母が共同で決めるという、子の安定と双方の関与を両立させる二段構えの仕組みを説明。
まず安心してほしいこととして、何もかも二人で決めるわけではないと説明。毎日の食事や買い物、ちょっとした予定まで元配偶者に確認する必要はなく、法律は日常生活が立ち行かなくなるような不合理な事態を想定していないと紹介する。

日常の監護・教育は同居親が単独でできる

まず、日常の監護および教育に関する事柄は、原則として、子と一緒に暮らしている親(同居親)が単独で行うことができます

共同親権であっても、毎日の生活に関わる判断のたびに、もう一方の親の同意を得る必要はありません。

ここでいう「日常の監護・教育」とは、たとえば次のようなものです。

  • 毎日の食事や衣類、生活リズムに関すること
  • 日常的な習い事の送り迎えや、ちょっとした予定の調整
  • 軽いけがや風邪のときに、近所の病院で受診させること
  • 学校との日常的なやり取りや、宿題・持ち物の確認
  • お小遣いの管理など、生活に密着した細かな判断

これらは、子と日々向き合っている同居親が、その場その場で判断する必要があるものです。いちいちもう一方の親の同意を求めていては、子の生活が回りません。

そこで法律は、こうした日常的な事柄については、同居親が単独で対応できるとしています。

この仕組みのおかげで、共同親権を選んだとしても、日々の暮らしが過度に窮屈になることはありません。子と暮らす親は、これまでと同じように、日常の判断を自分の責任で行えます。

ただし、注意したいのは、「日常」と「重要」の線引きが、常にはっきりしているとは限らないという点です。どこまでが日常的な事柄で、どこからが共同で決めるべき重要事項なのか、判断に迷う場面も出てきます。一般的な目安は次の章で説明しますが、迷ったときには、トラブルを避けるためにも、もう一方の親に一声かけておく、あるいは専門家に相談しておくことが安全です。

同居親が単独でできることの例として、毎日の食事や衣類、生活リズムに関すること、日常的な習い事の送り迎えや予定の調整、軽いけがや風邪での近所受診、学校との日常的なやり取り、お小遣いの管理などを挙げて説明する。

進学・医療・転居などの「重要事項」は共同で決める

一方、子の人生に大きく関わる「重要事項」については、原則として父母が共同で決めることになります。

これが共同親権の中心的な意味合いです。

重要事項として典型的に挙げられるのは、次のようなものです。

  • 進学に関すること:進学先の学校の選択など、子の進路を左右する重要な決定
  • 重要な医療に関すること:手術や、長期にわたる治療、予防接種の方針など、軽微とはいえない医療上の判断
  • 転居に関すること:子の生活環境や、もう一方の親との交流に大きく影響する引っ越し

これらは、いずれも子の将来や生活基盤に重大な影響を与える事柄です。だからこそ、双方の親が親権者として関与し、子の利益を一緒に考えて決めることが求められます。

ここで大切なのは、「共同で決める」とは、必ずしも両者の意見が一致しなければ何も決められない、という硬直したものではないという点です。

基本は父母が協議し、合意を目指します。多くの場合は、子のためを思えば、冷静に話し合うことで折り合いがつくものです。

とはいえ、重要事項であるがゆえに、意見が対立して合意に至らないこともあります。たとえば、進学先について父母の考えが分かれる、転居の是非で対立する、といった場面です。そうしたとき、いつまでも決められないままでは、かえって子に不利益が及びかねません。

そこで、意見が対立して決められないときのために、家庭裁判所が関与する仕組みが用意されています。

また、緊急を要する場面では、一方の親が単独で判断できる例外もあります。

次の章で、この二つを説明します。

父母が共同で決める重要事項の例として、進学先の学校選択などの進学、手術や長期にわたる治療などの重要な医療、子の生活環境に大きく影響する転居の3つを挙げ、子の将来に重大な影響を与える事柄であると説明する。
なぜ日常と重要事項の二段構えになっているのかを説明。日常のすべてに双方の同意が必要だと同居親が身動きできず子の生活が不安定になり、重要な決定まで一方の独断で進められると親権者である意味が失われる点を紹介。
「共同で決める」は硬直したものではないと説明する図。基本は父母が協議し合意を目指すこと、子のためを思えば話し合いで折り合いがつくことが多いこと、対立して決められないときのために2つの仕組みがあることを紹介。

意見が対立したとき|急迫の事情と家庭裁判所の役割

重要事項について父母の意見が対立したとき、あるいは緊急の対応が必要なとき、どうなるのでしょうか。

二つの仕組みを押さえておきましょう。

「子の利益のため急迫の事情があるとき」は単独で行使できる

原則として重要事項は共同で決めますが、子の利益のために急を要する事情があるときは、一方の親が単独で親権を行使できるとされています。

たとえば、子が急な事故や重い病気で、一刻を争う治療が必要になった場面を考えてみてください。このとき、もう一方の親の同意を得るまで治療を待っていては、子の生命や健康が危険にさらされてしまいます。こうした急迫の事情があるケースでは、同居親などがその場で必要な判断を単独で下せるのです。

これは、子の利益を守るための重要な例外です。

ただし、「急迫の事情」とは、あくまで緊急性が高く、共同での決定を待てないような場合を指します。単に「相手と相談するのが面倒だから」といった理由で、何でも単独で決めてよいわけではない点に注意が必要です。

意見が対立したときは家庭裁判所が単独行使者を定める

緊急ではないものの、重要事項について父母の意見が対立し、どうしても合意できない場合があります。

このときは、家庭裁判所が、その事項について一方の親を「単独で決められる者」として定める仕組みがあります。

たとえば、進学先について父母の意見が真っ向から対立し、協議では決着がつかないとき、家庭裁判所に申し立てれば、裁判所がどちらの親に決定権を委ねるかを判断します。

このときの判断基準も、やはり「子の利益」です。

この仕組みがあることで、父母の対立によって重要な決定がいつまでも宙に浮き、子が不利益を被るという事態を防げます。「意見が合わなかったらどうしよう」という不安に対しては、最終的に家庭裁判所が道筋をつけてくれる、と知っておくと安心です。

ここで一つ補足しておきたいのは、家庭裁判所が定めるのは、あくまで「その特定の事項について」一方の親が単独で決められる、という限定的なものだという点です。たとえば進学先について裁判所が一方に決定権を委ねたとしても、それによって親権そのものが単独になるわけではなく、ほかの事柄については引き続き共同で決めることになります。事項ごとに、その都度、子の利益にかなう形を探っていく——共同親権はそうした柔軟な運用を前提とした制度だと理解しておくとよいでしょう。

もっとも、家庭裁判所での手続きには、主張と証拠の整理が必要です。子の利益という観点から、自分の考えをどう伝えるかは専門的な判断を要します。お困りの際は、弁護士へご相談ください。

当事務所は福井県大野市にございますが、オンライン相談も活用し、全国のご相談に対応しています。

仕組み1として、子が急な事故や重い病気で一刻を争う治療が必要な急迫の事情があるときは、もう一方の親の同意を待たず単独で判断できる例外を説明。相談が面倒という理由で単独判断してよいわけではない注意点も紹介。
仕組み2として、重要事項で意見が対立し合意できない場合、家庭裁判所が子の利益を基準にその事項に限り一方の親を「単独で決められる者」として定める仕組みを説明。親権自体は単独にならず他の事柄は共同のままである旨も紹介。
事項ごとに子の利益にかなう形を探る制度であると整理する図。日常のことは同居親が機動的に判断し、重要事項は父母で協議して合意を目指し、緊急時は単独で動け対立時は裁判所が道筋をつける仕組みを紹介、弁護士への相談も案内。
線引きに迷ったときの対応として、「日常か重要か」の判断が微妙なときはもう一方の親に事前に一声かけておくこと、判断に迷う場面や相手との調整が難しい場面では弁護士等の専門家に確認することを勧める図。

まとめ

共同親権を選んでも、日常の監護・教育は同居親が単独で行えます。

進学・重要な医療・転居などの重要事項は父母が共同で決めるのが原則ですが、子の利益のため急迫の事情があるときは単独で行使でき、意見が対立したときは家庭裁判所が単独行使者を定めます

線引きを理解すれば、過度に身構える必要はありません。

この記事の要点のまとめ。共同親権でも日常の監護・教育は同居親が単独で行えること、進学・重要な医療・転居などの重要事項は父母が共同で決めるのが原則であること、急迫時は単独行使でき対立時は家庭裁判所が単独行使者を定めることを紹介。
共同親権シリーズは全3回であるとの案内。第1回は共同親権と単独親権どちらを選ぶべきか、第2回は本記事である日常の決定と重要事項の線引き、第3回はDV・モラハラがある場合に共同親権を避けられるかを扱うと紹介。

何もかも二人で決めるわけではない、と分かって、ずいぶん気が楽になりました。

Dさん

微笑

横田

そうなんです。日常のことは一緒に暮らす親が判断できますから、生活が回らなくなる、ということはありません。
進学や転居のような大事なことで意見が合わなかったときは、家庭裁判所が決めてくれる、ということですね。

Dさん

微笑

横田

ええ。対立したまま宙ぶらりんにならないよう、最後は裁判所が子の利益を基準に道筋をつけます。緊急時には単独で動ける例外もあります。
日常か重要かの線引きで迷ったときは、どうすればよいでしょう。

Dさん

微笑

横田

迷ったら、トラブルを避けるためにも一声かけておくか、専門家に確認するのが安全です。全国どこからでもご相談を承りますので、判断に困ったらお気軽にどうぞ。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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