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【共同親権①】令和8年4月スタート|共同親権と単独親権、どちらを選ぶべきか

離婚 2026.07.10.

【共同親権①】令和8年4月スタート|共同親権と単独親権、どちらを選ぶべきか
令和8年の4月から、離婚しても父母が二人とも親権をもてる「共同親権」が始まると聞きました。これからは、必ず共同親権にしなければならないのでしょうか。

Dさん

微笑

横田

いいえ、そうではありません。これは「選択制」です。これまでどおり一方だけが親権をもつ単独親権も残りますし、新たに父母双方が親権をもつ共同親権も選べるようになる、という制度です。
選べるのですね。では、共同親権と単独親権、どちらを選んだほうがよいのでしょうか。一般的には共同のほうがよいのですか。

Dさん

微笑

横田

実は、一律に「共同がよい」「単独がよい」とはいえないんです。ご家庭ごとの事情、そして何より、お子さまにとって何が最善かによって、答えは変わってきます。
家庭ごとに違う、ということですね。すでに離婚している場合は、どうなるのでしょうか。

Dさん

微笑

横田

そこも気になるところですよね。施行前に離婚した方についても、後から共同親権へ変更を申し立てる道があります。順を追って、制度の全体像から見ていきましょう。
「はじめに この記事でわかること」の見出しのもと、令和8年4月1日から始まる共同親権制度の基本と背景、共同親権が選択制で単独親権もなくならないこと、すでに離婚している場合の扱いと選ぶ際の考え方の3点を紹介するスライド。

令和8年4月1日スタート|共同親権制度の概要

これまで日本では、父母が離婚すると、必ずどちらか一方だけが親権者となる「単独親権」しか認められていませんでした。しかし、民法の改正により、令和8年(2026年)4月1日から、離婚後も父母双方が親権をもつ「共同親権」を選べる制度が始まりました。

親権とは、お子さまを監護・養育し、その財産を管理し、子に代わって法律行為を行うなど、子の利益のために親が担う権利であり義務でもあるものです。これまでは、離婚後にこの親権を一方の親に集約していました。新しい制度では、離婚後も父母が共同で親権を担い続ける選択肢が加わります。

この改正は、子どもの利益を最も優先するという考え方(子の福祉)に立っています。離婚は夫婦の関係を解消するものですが、親子の関係まで断ち切るものではありません。離婚後も双方の親が子の養育に関わり続けられる仕組みを整えることで、子の健やかな成長を支えようという趣旨です。

ただし、後ほど詳しく述べるように、「離婚すれば必ず共同親権になる」わけではありません。あくまで選択肢が増えるという制度であり、それぞれの家庭の事情に応じた選び方が求められます。とりわけ、DVや虐待がある場合など、共同で親権を行うことが子の利益を害するおそれがあるケースでは、引き続き単独親権が選ばれます(この点は別の記事で詳しく扱います)。

なぜ今、このような改正が行われたのでしょうか。背景には、離婚後に一方の親が子と会えなくなったり、養育に関われなくなったりするケースが社会問題として意識されてきたことがあります。父母が離婚しても、双方が子の成長に責任をもって関わり続けられる選択肢を設けることで、子の利益をよりよく実現しようというのが、この改正の根底にある考え方です。一方で、無理に双方を関わらせることがかえって子に害を及ぼす場合への配慮も、制度の中に組み込まれています。

この改正は、多くのご家庭にとって関心の高いテーマです。

当事務所にも、福井県内にとどまらず全国から「自分の場合はどうなるのか」というご相談が増えています。

まずは制度の基本構造を、次の章でしっかり押さえましょう。

「制度の概要 令和8年4月1日、共同親権制度が始まる」という見出し。これまで単独親権のみだったが民法改正で共同親権も選べるようになり、改正の土台には子の利益を最も優先する考え方があると説明している。

共同親権は「選択制」|単独親権はなくならない

新しい制度を理解するうえで、最も大切な点があります。

それは、共同親権は「選択制」であり、単独親権が廃止されるわけではないということです。

報道などでは「共同親権が導入される」という言葉が強調されがちですが、これは「これからは全員が共同親権になる」という意味ではありません。正確には、離婚にあたって、

  • 父母双方が親権をもつ共同親権
  • 父母の一方だけが親権をもつ単独親権

のいずれかを選べるようになる、ということです。従来からの単独親権は、引き続き選択肢として残ります。

協議離婚の場合、親権をどちらの形にするかは、まず父母の協議(話し合い)で決めるのが原則です。

父母が話し合って「共同親権にしよう」と合意すれば共同親権に、「一方の単独親権にしよう」と合意すれば単独親権になります。

ここで誤解されやすいのは、「共同のほうが新しくて望ましい」「単独は古い」といった単純なイメージで選んでしまうことです。

共同親権が常に良いわけでも、単独親権が劣っているわけでもありません

たとえば、父母が離婚後も冷静に協力して子の養育について話し合える関係であれば、共同親権がうまく機能することもあります。一方で、父母の対立が激しい場合や、後述するDV・虐待があるような場合には、単独親権のほうが子の利益にかなうことが多いといえます。

つまり、選ぶべきは「制度の新しさ」ではなく、「お子さまにとって何が最善か」です。この視点を見失わないことが、何より大切です。

また、共同親権を選んだからといって、子と一緒に暮らす形(監護)が必ず半々になるわけでもありません。親権の形と、実際にどちらの親と暮らすか、どのくらいの頻度で会うか(面会交流)は、それぞれ別に取り決める事柄です。共同親権であっても、ふだんは一方の親と暮らし、もう一方の親が一定の関わりをもつ、という形は十分にあり得ます。「共同親権=子どもが両方の家を行き来する」と短絡的に考える必要はありません。この点も、誤解の多いところですので、押さえておいてください。

「もっとも大切なポイント 共同親権は選択制、単独親権はなくならない」という見出し。全員が共同親権になるわけではなく、共同親権と単独親権のいずれかを選べるようになり、従来の単独親権も引き続き選択肢として残ると説明している。
「決め方 まずは父母の協議で決めるのが原則」という見出し。共同親権(父母双方が親権をもつ)と単独親権(父母の一方だけが親権をもつ)を比較し、選ぶ基準は制度の新しさではなくお子さまにとって何が最善かだと説明している。
「よくある誤解 共同親権=半々で暮らす、ではない」という見出し。親権の形と実際にどちらの親と暮らすか(監護)・面会交流は別に取り決める事柄で、共同親権でも一方の親と暮らす形は十分にあり得ると説明している。

 協議が調わないときは家庭裁判所が決める

父母の話し合いで親権の形について合意できればよいのですが、現実には、どちらの形にするかをめぐって意見が対立することもあります。

そうした協議が調わない場合には、家庭裁判所が親権者を定めることになります。

このとき、家庭裁判所が判断の基準とするのは、ただ一つ、「子の利益」です。

父母のどちらの希望が強いか、どちらが熱心かといった親の都合ではなく、子にとって何が最も望ましいかという観点から、共同親権とするか単独親権とするかが判断されます。

家庭裁判所は、さまざまな事情を総合的に考慮します。たとえば、

  • これまで主に誰が子の世話をしてきたか(監護の実績)
  • 父母が離婚後も子の養育について協力して話し合える関係にあるか
  • 父母の間にDVや虐待がなかったか
  • 子の年齢や、子自身の意向(年齢に応じて尊重されます)
  • 子の生活環境の安定

といった点です。

特に重要なのは、DVや虐待があるなど、共同で親権を行うことがかえって子の利益を害すると認められる場合には、家庭裁判所は単独親権を定めるという点です。

共同親権は「双方が子に関わり続けることが子のためになる」という前提に立つ制度ですから、その前提が成り立たないケースでは、無理に共同とはしません。

なお、家庭裁判所に判断を委ねるといっても、できることなら父母の協議で穏やかにまとまるのが、子にとっても望ましいものです。裁判所での争いは、どうしても時間がかかり、父母の対立を深めてしまう面があります。協議の段階で、子の利益という共通の土台に立って冷静に話し合えるなら、それに越したことはありません。話し合いが難しいと感じたときに、家庭裁判所という道が用意されている、と理解しておくとよいでしょう。

裁判所での親権の争いは、主張と証拠の積み重ねが結果を大きく左右します。子の利益という観点から、自分たちの家庭の事情をどう整理し、どう伝えるかは、専門的な判断を要する部分です。お困りの際は、早めに弁護士へご相談いただくことをおすすめします。

「協議が調わないとき 合意できなければ、家庭裁判所が決める」という見出し。家庭裁判所の判断基準は子の利益のみで、監護の実績、父母の協力関係、DVや虐待の有無、子の年齢・意向、生活環境の安定などを考慮すると説明している。
「重要な例外 DV・虐待がある場合は、単独親権が定められる」という見出し。共同で親権を行うことが子の利益を害するおそれがあるケースでは、家庭裁判所は無理に共同とせず単独親権を定めると説明している。
「心構え できることなら、協議で穏やかに」という見出し。裁判所での争いは時間がかかり対立を深める面があること、子の利益という共通の土台に立てば話し合いの余地が広がること、困ったときは早めに弁護士へ相談することを勧めている。

すでに離婚している場合と、選ぶ際の考え方

最後に、二つの実務的な点を押さえておきましょう。

一つは、すでに離婚している場合の扱い

もう一つは、選ぶ際の考え方です。

施行前にすでに離婚している場合

令和8年4月1日の施行より前に離婚が成立している方は、その時点では当然に単独親権です。では、後から共同親権に変えられないのかというと、そうではありません。

施行後に、家庭裁判所へ親権者の変更を申し立てることで、共同親権へ変更できる道が用意されています

ただし、申し立てれば必ず共同親権に変更されるわけではありません。この場合も、家庭裁判所が「子の利益」を基準に、共同とすることが望ましいかどうかを判断します。すでに生活が安定している場合や、父母の関係に問題がある場合などは、変更が認められないこともあります。

選ぶ際の考え方

共同親権と単独親権のどちらを選ぶかは、繰り返しになりますが、「お子さまにとって何が最善か」を軸に考えるべきです。

判断のヒントとして、次のような問いが役立ちます。

  • 離婚後も、父母が子の進学や医療などについて、冷静に話し合えそうか
  • 一方の親に、子を危険にさらすような事情(DV・虐待など)がないか
  • 子の生活が安定し、安心して暮らせる形はどちらか
  • 子自身が、両方の親との関わりをどう望んでいるか

これらをふまえても判断に迷うのは当然です。一律の正解がない以上、ご家庭ごとの事情に即して、専門家とともに考えることが何より大切です。

当事務所は福井県大野市にございますが、オンライン相談も活用しながら、全国のご相談に対応しています。新しい制度への不安や疑問を、どうか一人で抱え込まずにお持ちください。

「すでに離婚している方へ 施行後に、共同親権へ変更を申し立てる道がある」という見出し。施行前に離婚した場合は当然単独親権だが、施行後は家庭裁判所へ親権者変更を申し立てられ、その場合も子の利益を基準に判断されると説明している。
「選ぶ際の考え方 判断のヒントになる4つの問い」という見出し。父母が冷静に話し合えそうか、DVや虐待などの危険な事情がないか、子の生活が安定するか、子自身が両方の親との関わりをどう望んでいるかの4つを挙げている。
「向き・不向き 一律に共同がよい・悪いとはいえない」という見出し。父母が冷静に協力できる関係なら共同親権が機能しやすく、対立が激しい場合やDV・虐待がある場合は単独親権のほうが子の利益にかなうことが多いと説明している。

まとめ

令和8年4月1日から、離婚後の共同親権が選べるようになります。

これは選択制であり、単独親権がなくなるわけではありません。

協議が調わなければ家庭裁判所が子の利益を基準に決定し、すでに離婚した方も後から変更を申し立てられます。

一律に共同がよい・悪いとはいえず、お子さまにとっての最善を軸に選ぶことが肝心です。

「まとめ この記事の要点」という見出し。令和8年4月1日から共同親権を選べるが単独親権はなくならないこと、協議が調わなければ家庭裁判所が子の利益を基準に決めること、選ぶ基準はお子さまにとって何が最善かであることなどを要点として整理している。
「シリーズのご案内 共同親権シリーズは全3回」という見出し。本記事(どちらを選ぶべきか)に続き、第2回で日常の決定と重要事項の線引き、第3回でDV・モラハラがある場合の共同親権について解説すると案内している。

共同親権が選択制で、単独親権も残ると分かって、ずいぶん整理できました。

Dさん

微笑

横田

そこが一番の誤解されやすい点なんです。「これからは全員が共同になる」わけではない、と知っておいていただくだけでも大きいですよ。
選ぶときは、制度の新しさではなく、子どもにとっての最善で考える、ということですね。

Dさん

微笑

横田

そのとおりです。父母が冷静に協力できるか、子が安心して暮らせるか。その視点を軸にすれば、おのずと方向性は見えてきます。
すでに離婚した友人にも、後から変更できる道があると伝えてあげたいです。

Dさん

微笑

横田

ぜひ教えてあげてください。ただし変更も家庭裁判所が子の利益で判断します。具体的な見通しは事情によりますので、迷われたら全国どこからでもご相談くださいね。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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