COLUMNコラム
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離婚で必ず決めるべきこと|親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料の全体像
離婚 2026.07.09.

Dさん

横田

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子どもに関する3つの取り決め
未成年のお子さんがいる場合、まず考えなければならないのが、お子さんに関する取り決めです。
これには親権、養育費、面会交流の3つがあります。
- 親権とは、お子さんの世話や教育を行い、その財産を管理する権利であり、義務でもあります。未成年の子がいる夫婦が離婚するときは、必ずどちらが親権を持つかを決めなければなりません。これが決まっていないと、離婚届は受理されません。
- 養育費は、お子さんを育てるために必要な費用を、お子さんと一緒に暮らさない側の親が負担するお金です。金額は、双方の収入や子どもの人数・年齢をもとに、家庭裁判所が用いる算定表を目安に決められることが一般的です。
- 面会交流は、お子さんと離れて暮らす親が、定期的にお子さんと会ったり、連絡を取り合ったりすることです。頻度や方法をあらかじめ取り決めておくことで、後のトラブルを防げます。
これらはいずれも、親の都合だけでなく、お子さんの利益を第一に考えて決めるべきものです。
とくに養育費と面会交流は、別れたあとも長く続く関係であり、感情のもつれを持ち込まず、冷静に取り決めておくことが望まれます。
少し補足すると、養育費は「子どもが何歳になるまで」払うのかを決めておく必要があります。
一般には成年に達するまで、あるいは大学などへの進学を見込んで22歳の年度末までとするなど、ご家庭の事情に応じて取り決めます。さらに、入学金や授業料、病気やけがの治療費といった、日常の養育費では足りない特別な出費をどう分担するかも、あらかじめ話し合っておくと後の争いを防げます。
面会交流についても、「月に1回」「第何週の土曜日に何時間」といった具合に、できるだけ具体的に決めておくことをおすすめします。漠然と「会わせる」とだけ約束しても、いざとなると日程や場所をめぐって対立しがちです。お子さんの年齢や生活リズムに合わせて、無理のない形を決めておくことが、長続きの秘訣です。
なお、令和8年4月の家族法改正では、こうした親子の交流についても、家庭裁判所が試行的な実施を促せる仕組みが新たに設けられました。




お金と財産に関する2つの取り決め
次に、夫婦の間のお金と財産に関する取り決めです。
これには財産分与と慰謝料の2つがあります。
財産分与とは、結婚している間に夫婦が協力して築いた財産を、離婚にあたって公平に分け合うことをいいます。預貯金、不動産、車、保険の解約返戻金、退職金など、名義がどちらであるかにかかわらず、夫婦の協力で得た財産が対象になります。原則として、2分の1ずつ分けるのが基本的な考え方です。
一方、結婚前から持っていた財産や、相続・贈与で得た財産は、夫婦が協力して築いたものではないため、原則として財産分与の対象にはなりません。
これを特有財産といいます。
たとえば、結婚前から自分名義で持っていた預金や、親から相続した不動産などがこれにあたります。
財産分与で実務上とくに問題になりやすいのが、退職金と住宅ローンが残った不動産です。
退職金は、まだ受け取っていなくても、結婚期間に対応する部分は分与の対象になり得ます。また、住宅ローンが残っている自宅については、その価値とローン残高の差し引きをどう評価し、どちらが住み続けるのかといった点をめぐって、話し合いが複雑になりがちです。
こうした財産がある場合は、早めに全体像を把握しておくことが大切です。なお、令和8年4月の改正により、財産分与を請求できる期間は離婚から2年から5年へと延長されます。
慰謝料は、相手の不法な行為によって被った精神的な苦痛に対する賠償です。
たとえば、不貞行為(不倫)やドメスティック・バイオレンスなど、相手に明らかな有責性がある場合に問題になります。逆に言えば、どちらが悪いとも言えない「性格の不一致」などでの離婚では、慰謝料が発生しないことも多くあります。
慰謝料は「離婚すれば必ずもらえるもの」ではなく、相手の責任を裏づける事情と証拠があって初めて認められるものだという点を、誤解のないようにしていただきたいと思います。
慰謝料を求めるのであれば、相手の有責性を示す事情を、できるだけ早い段階で整理し、裏づけとなる資料を確保しておくことが大切です。時間が経つほど、こうした証拠は集めにくくなります。
財産分与と慰謝料は、いずれもお金に関わるものですが、その性質は大きく異なります。
財産分与は「夫婦で築いた財産を公平に分ける」清算であり、どちらが悪いかとは関係なく行われます。
これに対して慰謝料は「相手の責任を問う」賠償であり、相手に非があって初めて発生します。
この二つを混同すると、交渉の見通しを誤ることがあります。たとえば「相手が悪いのだから、財産も多めにもらえるはずだ」と考えがちですが、財産分与は原則として責任の有無にかかわらず半分ずつであり、相手の非は慰謝料という別の枠組みで考えるのが基本です。




5項目は互いに影響し合う
これら5つの項目は、それぞれ独立しているようでいて、実際には互いに影響し合っています。一つを決めると、ほかの項目の落としどころも動いてくる、という関係にあります。
たとえば、次のような形でつながっています。
- 親権をどちらが持つかによって、養育費を払う側ともらう側が決まる
- 財産分与で受け取る財産の多寡が、当面の生活設計に影響し、養育費の話し合いの前提にもなる
- 慰謝料を請求できるかどうかは、財産分与の交渉全体の雰囲気を左右することがある
- 面会交流をどう取り決めるかが、養育費の支払いを続ける動機づけにもつながる
このように、5項目をばらばらに考えるのではなく、全体を一つのパッケージとして捉えることが大切です。
一つの項目だけに気を取られて譲歩しすぎると、別の項目で本来得られたはずのものを失うこともあります。
だからこそ、離婚の交渉では「自分にとって何がもっとも譲れないのか」「どこは譲ってもよいのか」という優先順位を、あらかじめ整理しておくことが有効です。
全体を見渡したうえでバランスをとる視点が、納得のいく合意につながります。
具体的な場面で考えてみましょう。
たとえば、慰謝料の請求を強く主張すれば、相手は身構え、財産分与や養育費の話し合い全体がぎくしゃくすることがあります。逆に、慰謝料にはこだわらない代わりに、養育費や財産分与で実をとる、という進め方もあります。どちらが正解ということではなく、ご自身が本当に大切にしたいものは何かによって、最適な組み合わせは変わってきます。
注意したいのは、目先の一点だけにとらわれて、感情的に交渉を進めてしまうことです。
たとえば「とにかく早く別れたい」という思いが先に立つと、養育費や財産分与をよく検討しないまま合意してしまい、後から「あのとき、もっときちんと決めておけば」と悔やむことになりかねません。
5項目を一枚の地図の上に並べ、全体のバランスを見ながら判断することが、後悔のない離婚につながります。


合意を公正証書にしておく意義
話し合いがまとまったら、その内容を必ず書面に残すことをおすすめします。
とくに養育費のように、長期間にわたってお金の支払いが続くものについては、公正証書にしておく意義が大きいと言えます。
なぜ書面に残すことがそれほど大切なのでしょうか。
離婚にまつわる取り決めの多くは、別れたあと、長い年月にわたって効力を持ち続けます。とくに養育費は、お子さんが小さいうちに取り決めれば、十数年にわたって支払いが続くこともあります。その間には、双方の生活も気持ちも変わっていきます。口約束だけでは、時が経つにつれて「そんな約束はしていない」「金額が違う」といった食い違いが生じやすく、いざというときに頼りになりません。だからこそ、合意の内容を、後から誰が見ても分かる形で残しておくことが重要なのです。
公正証書とは、公証人という法律の専門家が、当事者の合意内容を確認したうえで作成する公的な文書です。口約束や私的な合意書と比べて、次のような利点があります。
- 合意の内容が公的に記録され、「言った・言わない」の争いを防げる
- 強制執行認諾文言を入れておけば、支払いが滞ったときに、裁判を経ずに相手の給料や預貯金を差し押さえられる
- 公証人が関与するため、内容が法的に有効かどうかも確認できる
たとえば、養育費を口約束だけで取り決めた場合、相手が支払いを止めても、すぐに差押えはできません。改めて裁判などを起こす必要があり、時間も手間もかかります。これに対して、強制執行認諾文言のある公正証書があれば、いざというときに迅速に動けます。
公正証書を作るには、夫婦そろって公証役場に出向き、合意の内容を公証人に伝えて作成してもらうのが基本です。あらかじめ合意の中身を整理し、文案を準備しておくと、手続きはスムーズに進みます。ここで大切なのは、どのような条項をどう書くかです。たとえば養育費なら、金額だけでなく、支払いの期間、支払日、振込先、子の進学などに伴う特別な費用の扱いまで、できるだけ具体的に定めておくことが、後の争いを防ぎます。曖昧な書き方をすると、せっかくの公正証書も役に立たないことがあります。
なお、調停や裁判で離婚が成立した場合は、その結果をまとめた調停調書や判決にも、公正証書と同じように強制執行の効力があります。
つまり、協議離婚で公正証書を作っておくことは、調停や裁判を経たのと同じだけの後ろ盾を、話し合いだけで手にしておく、ということでもあるのです。
協議離婚であっても、こうした書面を整えておくことは決して大げさなことではありません。むしろ、穏やかに別れたご夫婦ほど、将来の安心のために形に残しておく価値があります。
当事務所は福井県大野市にありますが、お住まいの地域を問わず、公正証書の内容づくりからご相談に対応しています。

まとめ
離婚で決めるべき主な事項は、親権・養育費・面会交流という子どもに関する3つと、財産分与・慰謝料というお金に関する2つの、合わせて5項目です。
これらは独立しているようでいて互いに影響し合うため、全体を一つのパッケージとして捉え、優先順位を整理して臨むことが大切です。
そして、まとまった合意は、とくに養育費を含む場合、強制執行認諾文言を備えた公正証書にしておくことで、将来の安心につながります。


Dさん

横田

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