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【令和8年4月改正】離婚の常識が変わった|家族法大改正の全体像

離婚 2026.07.09.

【令和8年4月改正】離婚の常識が変わった|家族法大改正の全体像
ニュースで「共同親権が始まる」と聞いて驚いています。私はちょうど離婚を考えている最中なのですが、法律が変わると、これまでの常識が通用しなくなるのでしょうか。

Bさん

真顔

横田

確かに、今回の改正は家族法にとって大きな節目です。とくに離婚後の親権については、長年続いてきた仕組みが見直されます。ただ、変わるといっても、すべてがひっくり返るわけではありません。落ち着いて全体像を押さえることが大切です。
共同親権というのは、離婚しても両親が二人で親権を持つということですよね。これからは必ずそうなる、ということなのでしょうか。

Bさん

真顔

横田

そこは誤解されやすいところです。今回の改正は、離婚後の親権を「共同」か「単独」かのどちらかから選べるようにするものです。単独親権という選び方がなくなるわけではありません。
そうなのですね。ほかにも変わる点があるとうかがいました。お金のことなども関係するのでしょうか。

Bさん

真顔

横田

はい。養育費や財産分与についても重要な見直しがあります。今回はまず、改正の全体像を俯瞰しておきましょう。一つひとつの詳しい話は、後の回で改めて取り上げます。
この記事でわかることとして、令和8年4月1日施行の家族法大改正の全体像とその背景、共同親権・法定養育費・先取特権・財産分与・親子交流という5つの柱、改正を恐れすぎず期待しすぎず受け止める視点の3点を挙げている。

令和8年4月施行・家族法大改正とは

令和8年(2026年)4月1、家族に関する法律が大きく改正され、施行されます。今回の改正は、離婚や子どもをめぐる制度について、ここ数十年でもっとも大きな見直しと言われています。

これまでの日本の制度では、父母が離婚すると、どちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」しか認められていませんでした。しかし、離婚後も両親がともに子どもの養育に関わるべきだという考え方が広がり、社会の実情に合わせて制度が改められることになったのです。

今回の改正は、親権の仕組みだけにとどまりません。

養育費の確保、財産分与のルール、親子の交流のあり方など、離婚にまつわる幅広い場面に及んでいます。離婚を考えている方、あるいはすでに離婚された方にとっても、知っておく価値のある内容です。

なぜ今、これほど大きな改正が行われるのでしょうか。

背景には、離婚後の子どもの養育をめぐる長年の課題があります。日本では離婚後は単独親権が原則であったため、子どもと離れて暮らす親が養育に関わりにくく、養育費の支払いが途絶えるケースも多いと指摘されてきました。ひとり親家庭の貧困や、親子の交流が断たれることへの懸念が高まるなかで、社会の実情に合わせた制度づくりが求められたのです。

今回の改正は、こうした課題に正面から向き合おうとするものだと言えます。

もう一点、押さえておきたいのは、改正後の制度が、いつの離婚から適用されるのかという点です。

改正には、施行日より前に離婚した方にも関わってくる部分と、施行後の離婚に適用される部分とがあります。たとえば、離婚後の親権をどうするかという話は、これから離婚する方に関わってきますが、養育費の回収を確実にする仕組みなどは、すでに離婚した方の取り決めにも関係してくる可能性があります。ご自身の状況がどの部分に該当するのかは、ケースによって異なりますので、関心のある点は個別に確認しておくと安心です。

まずは、改正の主な柱を一覧で確認しておきましょう。

  1. 選択的共同親権の導入
  2. 法定養育費の新設
  3. 養育費に関する一般先取特権の創設
  4. 財産分与の請求期間の延長
  5. 親子交流の試行的実施に関する規定

以下では、これらを子どもに関する点とお金に関する点に分けて、順に概観します。

令和8年4月1日施行という大きな節目として、ここ数十年でもっとも大きな家族法の見直しであり、親権の仕組みにとどまらず養育費の確保、財産分与のルール、親子の交流のあり方まで幅広い場面に及ぶと説明している。
なぜ今、大改正なのかという背景として、これまでは離婚後は単独親権しか認められず養育費の支払いが途絶えるケースが多かったこと、ひとり親家庭の貧困や親子交流が断たれる懸念の高まりを挙げている。
改正の5つの柱として、選択的共同親権の導入、法定養育費の新設、養育費に関する一般先取特権の創設、財産分与の請求期間の延長(2年から5年へ)、親子交流の試行的実施に関する規定を一覧で示している。

親権・養育費に関する3つの大きな変更

まず、お子さんの親権と養育費に関わる3つの変更を見ていきます。

  1. 選択的共同親権の導入 今回の改正の中心となるのが、離婚後の親権を父母の協議によって「共同(双方)」か「単独(一方)」かから選べるようになる点です。これまでは離婚後は単独親権だけでしたが、改正後は、父母が話し合って共同で親権を持つことも選べるようになります。ここで誤解してはならないのは、単独親権という選択肢が廃止されるわけではないということです。それぞれのご家庭の事情に応じて、共同か単独かを選ぶ仕組みです。
  2. 法定養育費の新設 養育費の取り決めがないまま離婚してしまうご家庭が少なくないことを踏まえ、取り決めがなくても、主に子どもを監護する親が一定額の養育費を請求できる仕組みが新たに設けられます。これを法定養育費といい、当面の額は子ども1人につき月額2万円とされています。これにより、取り決めをしないまま養育費が一切受け取れない、という事態を防ぐことが目指されています。
  3. 養育費に関する一般先取特権の創設 従来、養育費を強制的に回収するには、原則として公正証書や判決などの「債務名義」が必要でした。改正後は、養育費の請求権に一般先取特権という優先的な地位が与えられ、債務名義がなくても、一定の手続きを経て相手の財産を差し押さえることが可能になります。養育費の取りはぐれを減らすための重要な改正です。

これら3つは、いずれもお子さんの生活を支える養育費を、より確実に確保しようという方向での見直しです。

なかでも、選択的共同親権については、もう少し説明を加えておきます。「共同親権」というと、別れた相手と何でも一緒に決めなければならないと身構える方がいますが、日常の細々したことまで逐一相談が必要になるわけではありません。一方で、子どもの進学先や重要な医療など、子の利益に関わる大切な事柄については、双方で決めることが想定されています。また、共同親権を選んでいても、急を要する場合などには一方の親が単独で判断できる場面も設けられる見込みです。どのような形が自分たちの家庭に合うのかは、ケースごとに丁寧に考える必要があります。

法定養育費についても補足します。

月額2万円というのは、あくまで取り決めがない場合に最低限を確保するための金額であって、本来あるべき養育費の水準を示すものではありません。きちんと取り決めれば、収入に応じてこれを上回る額になるのが通常です。法定養育費は「取り決めをしなくてもよい」という意味ではなく、「取り決めができていない子どもを守るための最後の備え」と理解してください。

改正の柱1として選択的共同親権を取り上げ、これまでは離婚後は単独親権のみだったが、改正後は父母の協議によって共同か単独かを選べるようになること、単独親権が廃止されるわけではないことを説明している。
よくある誤解として、共同親権でも何でも一緒に決めるわけではないことを説明し、日常の細々したことは逐一相談不要だが、進学先や重要な医療など子の利益に関わる事柄は双方で決めることが想定されると述べている。
改正の柱2として法定養育費の新設を取り上げ、取り決めがなくても子ども1人につき月2万円を請求できる時代になり、取り決めのないまま養育費が一切受け取れない事態を防ぐための仕組みだと説明している。
法定養育費は「最後の備え」であるという注意点として、月2万円は最低限の確保額であり本来あるべき水準を示すものではないこと、きちんと取り決めれば収入に応じてこれを上回るのが通常であると説明している。
改正の柱3として養育費の回収が確実になる点を取り上げ、養育費の請求権に一般先取特権という優先的地位が与えられ、債務名義がなくても一定の手続きで相手の財産を差し押さえられるようになると説明している。

財産分与・親子交流に関する2つの変更

次に、財産分与と親子の交流に関する2つの変更です。

財産分与の請求期間の延長 これまで、財産分与を請求できる期間は、離婚から2とされていました。しかし、離婚直後は生活の立て直しに追われ、財産分与まで手が回らないことも多いという指摘がありました。そこで改正により、この期間が5年に延長されます。これにより、離婚後しばらく経ってからでも、落ち着いて財産分与を求めやすくなります。

親子交流の試行的実施に関する規定 お子さんと離れて暮らす親との交流(親子交流)について、いきなり本格的な取り決めをするのが難しい場合に、家庭裁判所が試行的に交流を実施するよう促せる仕組みが新たに設けられます。試しに交流を行ってみて、お子さんの様子や双方の状況を確かめながら、無理のない形を探っていくことができるようになります。

これらは、離婚後の生活の現実に即して、当事者がより柔軟に対応できるようにするための改正と言えます。財産分与の期間延長は、離婚を急がされる方の負担を軽くし、親子交流の試行的実施は、子どもの福祉に配慮しながら段階的に関係を築く道を開くものです。

財産分与の期間が2年から5年に延びることの意味は、決して小さくありません。これまでは、離婚から2年を過ぎると、原則として財産分与を求めることができなくなっていました。離婚直後は心身ともに余裕がなく、財産のことまで手が回らないうちに期限が来てしまった、という方も少なくなかったのです。期間が5年に延びることで、いったん生活を立て直してから、落ち着いて財産の清算に取り組む余地が広がります。とはいえ、時間が経つほど相手の財産は把握しづらくなりますから、可能であれば早めに動くにこしたことはありません。

改正の柱4として財産分与の請求期間の延長を取り上げ、これまでの離婚から2年が改正後は5年になること、離婚直後は財産分与まで手が回らないことも多いため期間延長で余地が広がると説明している。
改正の柱5として親子交流を取り上げ、いきなり本格的な取り決めが難しい場合に家庭裁判所が試行的に交流を実施するよう促せる仕組みが新設され、子どもの福祉に配慮しながら段階的に形を探れると説明している。

改正をどう受け止めればよいか

ここまで主な改正点を概観してきましたが、大切なのは、これらの変更をいたずらに恐れたり、過剰に期待したりしないことです。

たとえば、共同親権という言葉だけが先行して、「離婚しても必ず相手と関わり続けなければならないのか」と不安に感じる方がいます。しかし、実際には共同か単独かを選べる仕組みであり、ご家庭の事情に応じて判断されます。とくに、相手からの暴力などがあるケースでは、子どもの安全が最優先に考えられます。

逆に、「養育費が自動的にもらえるようになった」と単純に受け止めるのも禁物です。

法定養育費はあくまで取り決めがない場合の最低限の備えであり、本来は双方の収入に応じた適切な額をきちんと取り決めるほうが望ましいのです。

また、今回の改正は、すでに離婚している方にも関わってくる場面があります。たとえば、過去に取り決めた養育費の回収については、新たに設けられる一般先取特権の仕組みが活きてくる可能性があります。改正がいつの時点の離婚に、どこまで適用されるのかといった細かな点は、ケースによって異なりますので、ご自身の状況がどう扱われるのかは個別に確認することをおすすめします。「もう離婚したから関係ない」と決めつけず、関わりのありそうな改正点は押さえておくとよいでしょう。

さらに、共同親権を選んだ場合、離婚後も子どもの重要事項について元配偶者と話し合う場面が出てきます。これがうまく機能するご家庭もあれば、かえって対立の種になるご家庭もあります。だからこそ、共同か単独かは、目先の感情ではなく、「この先、子どものために二人で協力していけるか」という長い目で考える必要があります。制度が選択を許すからこそ、その選択の重みも増している、ということです。

改正後の制度は、選択肢が増えたぶん、ご自身の状況に合った選び方を見極めることが、これまで以上に重要になります。何が自分とお子さんにとって最善かは、一律には決まりません。だからこそ、制度の全体像を踏まえたうえで、個別の事情に即して判断していくことが求められます。

なお、各論については、後の回で一つずつ詳しく取り上げていきます。今回はまず、「離婚の常識が変わった」という全体像をつかんでいただければ十分です。

恐れすぎず期待しすぎずという受け止め方として、必ず相手と関わり続けるわけではないこと、養育費が自動的にもらえるわけでもないこと、すでに離婚した方にも関わる場面があることの3点を説明している。

まとめ

令和8年4月1日に施行される家族法の大改正では、

(1)選択的共同親権の導入

(2)法定養育費の新設

(3)養育費に関する一般先取特権の創設

(4)財産分与の請求期間の2年から5年への延長

(5)親子交流の試行的実施に関する規定

いう5つの大きな見直しが行われました。

共同親権は単独親権を廃止するものではなく、選べる仕組みである点に注意が必要です。選択肢が増えたぶん、ご自身の状況に合った判断がいっそう大切になります。

この記事の要点として、令和8年4月1日施行の家族法大改正はここ数十年で最大の見直しであること、柱は5つであること、共同親権は選べる仕組みであること、選択肢が増えたぶん状況に合った判断が大切になることをまとめている。

改正の全体像は分かりました。ただ、自分のケースで共同と単独のどちらを選ぶべきか、考えるほど分からなくなってしまいます。

Bさん

真顔

横田

それは当然のことです。共同か単独かは、ご家庭ごとの事情によって最善が変わります。一般論ではなく、ご自身の具体的な状況に当てはめて考える必要があるので、専門家と一緒に整理することをおすすめします。
改正前の今のうちから相談しておいたほうがよいのでしょうか。それとも施行を待つべきですか。

Bさん

微笑

横田

むしろ今のうちから備えておくほうが安心です。改正の内容を踏まえて見通しを立てておけば、施行後も慌てずに動けます。早めの相談に値する時期です。
分かりました。制度が変わる前に、一度きちんと相談してみます。

Bさん

微笑

横田

それがよいでしょう。変化の時期だからこそ、正確な情報を手にして臨むことが力になります。安心してお越しください。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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