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専業主婦・主夫でも離婚できる?離婚後の生活設計とお金の不安への備え

離婚 2026.07.09.

専業主婦・主夫でも離婚できる?離婚後の生活設計とお金の不安への備え
結婚してからずっと専業主婦で、自分名義の貯金もほとんどありません。離婚したい気持ちはあるのですが、収入がない私でも離婚なんてできるのでしょうか。

Dさん

微笑

横田

まず安心していただきたいのですが、収入があるかどうかと、離婚できるかどうかは、まったく別の問題です。専業主婦・主夫の方だからといって離婚できないということは、法律上いっさいありません。
そうなんですね。でも、家を出てからどうやって暮らしていけばいいのか、そこが一番こわくて踏み出せずにいます。

Dさん

微笑

横田

その不安はとても自然なものです。大切なのは、離婚にともなって受け取れるお金と、利用できる公的な支援を具体的に把握して、生活の見通しを立てることです。漠然とした不安は、数字に置き換えると、かなり整理できるものですよ。
数字に置き換える、ですか。具体的にどんなお金が受け取れるのか、教えていただけますか。

Dさん

微笑

横田

では、財産分与、年金分割、慰謝料、養育費という四つの柱を順番に見ていきましょう。そのうえで、公的支援と生活設計の話につなげていきますね。
はじめにの見出しのもと、この記事でわかることとして、収入の有無は離婚の可否と無関係であること、財産分与・年金分割・慰謝料・養育費という4つのお金、公的支援の活用と生活設計の立て方という3点を示すスライド。

収入の有無は離婚できるかどうかに関係しない

「専業主婦だから離婚できないのではないか」という不安をお持ちの方は少なくありません。

しかし、これは大きな誤解です。離婚そのものに、本人の収入や資産が条件として求められることはありません。

そもそも離婚には、大きく分けて三つの道筋があります。

一つ目は、夫婦が話し合いで合意して離婚届を出す協議離婚

二つ目は、家庭裁判所での話し合いによる調停離婚

三つ目は、調停がまとまらなかった場合に判決で離婚を認めてもらう裁判離婚です。

このいずれにおいても、「収入がある人だけが離婚できる」という決まりはありません。

協議離婚であれば、夫婦双方が合意すれば理由を問われることもなく成立します。

裁判離婚の場合は、民法が定める法定離婚事由(不貞行為、悪意の遺棄、生死不明、回復しがたい精神病、その他婚姻を継続しがたい重大な事由)が必要になりますが、これも「収入の有無」とは無関係です。

専業主婦・主夫の方が家庭で担ってきた家事や育児は、夫婦が財産を築くうえで欠かせない貢献として、法律上きちんと評価されます。家計を支える収入を得るためには、その人が安心して働ける家庭環境が不可欠であり、その土台を支えてきたのが家事・育児を担う側だからです。むしろ、収入がないからこそ、離婚にともなって受け取れるお金をしっかり確保することが重要になります。

経済的な不安は、離婚をあきらめる理由ではなく、準備すべき事項として捉えていただきたいのです。

実際のご相談でも、「自分の名義の財産が何もないから、何ももらえないのではないか」と思い込んでいる方が少なくありません。しかし、名義がどちらにあるかと、財産分与で受け取れるかどうかは別の話です。

婚姻期間中に築かれた財産であれば、たとえ配偶者名義の預貯金や不動産であっても、分け合う対象になり得ます。この点を知らないまま離婚を進めてしまうと、本来受け取れるはずのものを取りこぼしかねません。

当事務所には、福井県内に限らず、全国各地から「収入がなくても離婚できるのか」というご相談が寄せられます。結論として、収入の有無は離婚の可否を左右しません。

次の章から、では実際にどのようなお金を受け取れるのかを、具体的に見ていきましょう。

まず安心してほしいこととして、収入があるかどうかと離婚できるかどうかは別の問題であると説明。専業主婦・主夫でも法律上離婚できないことはなく、経済的な不安は準備すべき事項だと述べるスライド。
法律上の評価として、家事・育児は夫婦が財産を築くうえで欠かせない貢献として評価されると説明。協議・調停・裁判離婚いずれも収入の有無は無関係で、配偶者名義の財産も分与の対象になり得ると述べるスライド。

離婚で受け取れる四つのお金(財産分与・年金分割・慰謝料・養育費)

離婚にともなって受け取れる可能性のあるお金は、大きく四つに整理できます。

財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、名義がどちらであるかにかかわらず、夫婦共有の財産として分け合うのが原則です。これを財産分与といいます。預貯金、自宅などの不動産、自動車、生命保険の解約返戻金、退職金なども対象になり得ます。

重要なのは、たとえ収入がなく、財産がすべて配偶者名義であったとしても、専業主婦・主夫の方は原則としておおむね2分の1の財産分与を請求できるという点です。

家事や育児という形での貢献が、財産形成への寄与として評価されるためです。財産分与の請求には離婚から2年という期間制限があるため、注意が必要です。

年金分割

婚姻期間中に配偶者が納めた厚生年金の記録を、夫婦で分け合う制度が年金分割です。これにより、将来受け取る年金額を増やせる場合があります。専業主婦・主夫として相手の扶養に入っていた期間については、合意がなくても分割を受けられる仕組みもあります。

老後の生活に直結する制度ですので、忘れずに手続きをしてください。

慰謝料

配偶者の不貞行為やDVなど、相手に離婚の原因となる責任がある場合には、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を請求できます。

金額は事情によって幅がありますが、証拠の有無が結果を大きく左右します。

養育費

未成年のお子さまがいる場合、お子さまを育てる側の親は、もう一方の親に対して養育費を請求できます。養育費は、双方の収入や子どもの人数・年齢をもとにした算定表を参考に決めるのが一般的です。

養育費はお子さまの権利であり、親の都合で簡単に放棄してよいものではありません

離婚時に取り決めたうえで、公正証書などの形で残しておくと安心です。公正証書に強制執行を認める条項を入れておけば、万一支払いが滞ったときに、裁判をせずに相手の給与や預貯金を差し押さえる手続きに進める利点もあります。

これら四つは、それぞれ性質が異なるため、まとめて整理して請求することが大切です。

財産分与は過去に築いた財産の清算、年金分割は老後への備え、慰謝料は精神的損害への賠償、養育費は子の将来の養育費用、というように、それぞれ役割が違います。一つでも取り決めを忘れると、生活設計に穴があいてしまいます。離婚の話し合いに入る前に、これら四つを漏れなく検討するという意識をもっておくことが、後悔のない離婚につながります。どれをどの程度請求できるかは、ご家庭の財産状況や離婚原因によって変わりますので、見当がつかないときは早めに専門家に相談すると安心です。

離婚で受け取れる4つのお金として、財産分与(過去に築いた財産の清算)、年金分割(老後への備え)、慰謝料(精神的損害への賠償)、養育費(子の将来の養育費用)を一覧で示し、まとめて整理して請求する大切さを添えるスライド。
財産分与は婚姻中に夫婦で築いた財産を名義にかかわらず分け合うのが原則で、原則おおむね2分の1を請求できると説明。預貯金・不動産・退職金等が対象。ただし請求期限は離婚から2年である点を注意点として示すスライド。
年金分割は老後の生活に直結する制度と説明。婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で分け合い、将来の年金額を増やせる場合があること、扶養期間は合意なしで分割を受けられる仕組みがあることを示すスライド。
慰謝料と養育費を説明。慰謝料は不貞やDV等相手に責任がある場合に請求でき証拠が重要。養育費は子の権利であり、算定表を参考に取り決め、強制執行条項つきの公正証書に残すと安心と述べるスライド。

公的支援とひとり親への給付を知っておく

離婚後、とくにお子さまを育てるひとり親の方が利用できる公的支援はいくつもあります。受け取れるお金や支援を知っておくことは、生活設計の土台になります。

主なものとして、次のような制度があります。

  • 児童扶養手当:ひとり親家庭などを対象に、所得に応じて支給される手当です。お子さまの人数によって金額が変わります。
  • 児童手当:ひとり親に限らず、子どもを養育する方に支給されます(制度改正により対象が拡大しています)。
  • ひとり親家庭医療費助成:ひとり親家庭の親子の医療費の自己負担を軽減する制度です。
  • 就学援助:経済的に厳しい家庭に、学用品費や給食費などを援助する制度です。
  • 住宅手当・家賃補助:自治体によっては、ひとり親世帯向けの家賃補助を設けている場合があります。

これらの多くは自治体の窓口で申請する必要があり、内容や支給額は地域によって異なります。

お住まいの市区町村の役所や、ひとり親支援の相談窓口で確認することをおすすめします。

また、生活の立て直しのために、就労支援や資格取得を後押しする制度(高等職業訓練促進給付金など)も用意されています。専業主婦・主夫として長く家庭にいた方が、あらためて働き始める際の助けになります。

公的支援は、申請して初めて受けられるものがほとんどです

役所が自動的に支給してくれるわけではなく、自分から手を挙げて手続きをしなければ、受け取れる支援も受け取れません。「知らなかったために受け取れなかった」ということがないよう、早めに情報を集めておきましょう。当事務所でも、ご相談の中で利用できる制度の見当をつけ、適切な窓口へご案内することがあります。

なお、これらの支援は所得制限が設けられているものが多く、ご自身の見込み収入によっては対象になる場合も、ならない場合もあります。

離婚後の収入がまだ定まらない段階では判断が難しいものですが、だからこそ、見込みを立てたうえで、どの制度が使えそうかをあらかじめ確認しておくことに意味があります。

支援を「あてにできるもの」と「あてにできないもの」に仕分けしておくことで、生活設計の精度が上がります。

ひとり親が利用できる主な公的支援として、児童扶養手当、児童手当、ひとり親家庭医療費助成、就学援助、住宅手当・家賃補助、高等職業訓練促進給付金等を一覧で示し、内容は地域により異なるため窓口確認を促すスライド。
公的支援は申請して初めて受けられると強調。役所が自動的に支給するわけではなく、知らずに受け取れなかったとならないよう早めの情報収集と、あてにできるものとできないものの仕分けが大切だと説明するスライド。

離婚後の生活設計をどう立てるか

最後に、離婚後の生活設計をどう立てていくかを考えてみましょう。やみくもに不安を抱えるのではなく、収入と支出を具体的に書き出すことが第一歩です。

まず、離婚によって入ってくるお金を整理します。財産分与でいくら受け取れそうか、養育費は月いくらになりそうか、児童扶養手当などの公的給付はいくらか。そして、ご自身が働いて得られる収入の見込みも加えます。

次に、毎月の支出を洗い出します。家賃、食費、光熱費、通信費、お子さまの教育費、保険料など、生活に必要な費用を項目ごとに見積もります。住む場所を変えるのであれば、引越し費用や敷金・礼金といった初期費用も忘れずに計上します。

この「入ってくるお金」と「出ていくお金」を並べると、毎月どのくらいの収支になるのかが見えてきます。不足が見込まれる場合は、住居の選び方、就労の計画、利用できる支援の追加などで補う方法を考えます。漠然とした不安を、具体的な数字の計画に変えることが、安心して新しい生活へ踏み出すための鍵です。

特に注意したいのは、離婚を急ぐあまり、財産分与や養育費の取り決めを十分にしないまま離婚届を出してしまうことです。いったん離婚が成立すると、後から条件を整えるのは手間も時間もかかります。離婚の前に、受け取れるお金をきちんと確保しておくことが、その後の生活の安定につながります。

こうした生活設計の見通しや、財産分与・養育費の取り決めは、専門家とともに進めることで、より確かなものになります。

当事務所は福井県大野市にございますが、オンライン相談も活用しながら、全国の専業主婦・主夫の方の離婚と生活再建をお手伝いしています。

生活設計は書き出すことからと説明。財産分与・養育費・公的給付・就労収入といった入ってくるお金と、家賃・食費・教育費等の出ていくお金を並べ、不足が見込まれる場合の補い方も考える生活設計の方法を示すスライド。
いちばんの注意点として、取り決めをしないまま離婚届を出さないことを説明。離婚を急ぎ財産分与や養育費の取り決めが不十分だと後から条件を整えるのに手間がかかるため、離婚前の確保が生活の安定につながると述べるスライド。
漠然とした不安は数字に置き換えて整理すると説明。4つのお金を漏れなく検討、公的支援を調べて仕分け、収入と支出を書き出し収支の見通しを立てるという3ステップを示し、不明点が出たら専門家への相談を勧めるスライド。

まとめ

収入の有無は、離婚できるかどうかとは関係がありません。

大切なのは、財産分与・年金分割・慰謝料・養育費という四つのお金を確保し、公的支援も活用しながら、具体的な生活設計を立てることです。

不安を数字に置き換えることで、前へ進む道筋が見えてきます。

この記事の要点として、収入の有無は離婚の可否と無関係であること、財産分与・年金分割・慰謝料・養育費の確保、公的支援は申請が必要なこと、不安を数字に置き換えることの4点を示し、早めの相談を促すスライド。

お話を伺って、収入がないこと自体は離婚の壁にならないとわかって、少し気持ちが軽くなりました。

Dさん

微笑

横田

それは何よりです。むしろ収入がない方こそ、財産分与や養育費といった受け取れるお金をきちんと確保しておくことが大切なんですよ。
離婚を急いで、お金の取り決めをしないまま進めてしまうのが一番こわい、ということですね。

Dさん

微笑

横田

そのとおりです。離婚届を出す前に、生活の見通しを数字で立てておくこと。これが後の安心につながります。一人で抱え込まず、早めにご相談いただければ、一緒に計画を整えていけます。
まずは収入と支出を書き出すところから始めてみます。ありがとうございました。

Dさん

微笑

横田

ぜひそうなさってください。書き出してみて不明な点が出てきたら、いつでもお持ちください。全国どこからでもご相談を承っていますので、遠慮なくお声がけくださいね。

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監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

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