COLUMNコラム
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離婚を決意する前に|離婚の4つの方法(協議・調停・審判・裁判)と全体像
離婚 2026.07.08.

Bさん

横田

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離婚の4つの方法を俯瞰する
日本の法律で離婚を成立させる方法は、大きく分けて4つあります。協議離婚、調停離婚、審判離婚、そして裁判離婚です。
これらは別々の選択肢として並んでいるというより、話し合いがまとまらないときに次の段階へと進んでいく、階段のような関係になっています。
- 協議離婚は、夫婦が話し合って合意し、離婚届を市区町村役場に提出することで成立する、もっとも基本的な方法です。裁判所は関与しません。当事者の合意さえあれば、理由を問われることもありません。
- 調停離婚は、家庭裁判所で調停委員を交えて話し合う手続きです。夫婦が直接顔を合わせず、調停委員を通じて意向を伝え合いながら、合意点を探っていきます。
- 審判離婚は、調停が不成立になりかけたとき、家庭裁判所が当事者双方の事情を考慮して、職権で離婚を命じる手続きです。実務上はあまり多く用いられませんが、合意にあと一歩というケースなどで活用されることがあります。
- 裁判離婚は、調停でも解決しなかった場合に、訴えを起こして裁判所に離婚を認めてもらう手続きです。ここでは法律で定められた離婚原因の有無が争われ、判決によって決着がつきます。
このように、協議から裁判へと進むにつれて、当事者の話し合いの要素は薄れ、第三者である裁判所の判断の比重が増していきます。逆に言えば、できるだけ早い段階で折り合いをつけられれば、時間も費用も心の負担も小さく済むということです。
費やす時間の面でも、4つの方法には差があります。
協議離婚は、双方が合意すれば離婚届を出した日に成立します。これに対して、調停は申立てから成立までに数か月、長ければ半年から1年近くかかることもあります。さらに裁判となれば、判決が確定するまでに1年から2年、争点が多ければそれ以上を要するのも珍しくありません。
離婚にかかる期間は、選ぶ方法だけでなく、争いの深さによっても大きく変わってきます。
ここで一つ押さえておいていただきたいのは、どの方法を選ぶかは、必ずしも自分だけで決められるわけではないという点です。
協議で済ませたくても、相手が話し合いに応じなければ調停に進まざるを得ません。逆に、こちらが争う構えでいても、相手が条件を受け入れれば協議で終わることもあります。相手の出方によって進む道が変わるからこそ、どの段階でも落ち着いて対応できるよう、全体像を把握しておくことが役立つのです。





9割が協議離婚という現実
意外に思われるかもしれませんが、日本で成立する離婚のおよそ9割は協議離婚です。
つまり、裁判所を使わずに、夫婦の話し合いだけで離婚届を出して終わる方が、圧倒的多数を占めています。
「離婚」と聞くと、テレビドラマのような法廷での激しい争いを思い浮かべる方が多いのですが、実際にはそうした例は全体のごく一部です。多くの方は、話し合いの末に条件を整理し、書面に残して、静かに新しい生活へと歩み出しています。
協議離婚が選ばれるのには、いくつもの利点があるからです。
裁判所を介さないため、手続きが速く、費用も抑えられます。離婚の理由を人に説明する必要もなく、当事者のプライバシーが守られます。そして何より、お互いが納得して合意するため、別れたあとも一定の関係を保ちやすい、という良さがあります。とくにお子さんがいる場合、その後の養育費の支払いや面会交流を円滑に続けるうえで、円満に話がまとまったという事実は、目に見えない財産になります。
ただ、ここで注意していただきたいのは、協議離婚が「簡単」であることと「安心」であることは別だという点です。協議離婚は手続きが簡素なぶん、決めるべきことを決めないまま離婚届だけ出してしまうことが起こりがちです。
たとえば、養育費の金額や支払い方法、財産の分け方、面会交流の取り決めなどを曖昧にしたまま別れてしまうと、後になって「言った・言わない」のトラブルが生じます。とくに口約束だけで済ませた養育費は、途中で支払いが止まってしまう例が後を絶ちません。
協議離婚であっても、合意した内容は公正証書にしておくことを強くおすすめします。
公正証書に「強制執行を受け入れる」旨の条項を入れておけば、万一支払いが滞ったときに、裁判を起こさずに相手の給料などを差し押さえることができます。話し合いで穏やかに別れられるご夫婦こそ、後悔のない形で締めくくっていただきたいのです。
協議離婚で見落とされがちなのは、離婚届そのものに記載できる事項がごく限られているという点です。
離婚届の用紙には、未成年の子の親権者を記入する欄はありますが、養育費や財産分与、面会交流について書く欄はありません。つまり、離婚届を出しただけでは、お金や子どもに関する取り決めは何も確定しないのです。だからこそ、届出とは別に、合意の中身を書面に残しておく作業が欠かせません。
また、協議離婚には、当事者の一方が勝手に離婚届を出してしまうという思わぬ落とし穴もあります。これを防ぐために、市区町村役場には「離婚届不受理申出」という制度があります。自分の知らないうちに離婚届が受理されることを防ぎたいときには、こうした制度を利用できることも覚えておくとよいでしょう。協議離婚は手軽な反面、こうした注意点を知らずに進めると後悔につながりかねません。



調停前置主義と手続きの順序
話し合いがどうしてもまとまらないとき、次に進む先は裁判ではなく、まず調停です。
これを定めているのが調停前置主義という考え方です。
調停前置主義とは、離婚のような家庭に関する事件については、いきなり訴訟を起こすのではなく、まず家庭裁判所の調停を経なければならないという原則です。
家庭内の問題は、勝ち負けを決めるより、当事者が納得して解決するほうが望ましい、という発想にもとづいています。
そのため、協議がまとまらないからといって、いきなり離婚訴訟を起こすことは原則としてできません。仮に訴えを起こしても、裁判所から「まず調停をしてください」と調停に回されるのが通常です。
手続きの順序を整理すると、次のようになります。
- まず夫婦で協議する
- まとまらなければ家庭裁判所に調停を申し立てる
- 調停が不成立で、事情によっては審判がなされることもある
- それでも解決しなければ裁判(訴訟)を起こす
調停は、裁判のように白黒をつける場ではなく、あくまで話し合いの延長です。調停委員という中立的な立場の人が間に入ってくれるので、当事者だけでは感情的になってしまう話し合いも、落ち着いて進めやすくなります。実際、調停の段階で合意に至り、離婚が成立するケースも数多くあります。
調停の進み方をもう少し具体的に説明すると、申立てをすると期日(話し合いの日)が指定され、当事者は通常、別々の控室で待機します。そして交互に調停室へ入り、調停委員に自分の意向や事情を伝えます。相手と顔を合わせずに済むため、DVなどがある場合でも安心して臨めるよう配慮されています。
1回の期日でまとまらなければ、月に1回程度のペースで期日を重ねながら、合意点を探っていくことになります。
なお、先ほど触れた審判離婚は、調停がまとまりそうでまとまらない、あと一歩というときに、裁判所が当事者双方の事情をくんで離婚を成立させる仕組みです。ただし、審判には当事者が一定期間内に異議を申し立てれば効力を失うという性質があるため、実際に用いられる場面は限られています。
多くのケースでは、調停がまとまらなければ、次は裁判という流れになります。
なお、こうした手続きは全国どこの家庭裁判所でも同じ枠組みで進みます。
当事務所は福井県大野市にありますが、お住まいの地域にかかわらず、各地の手続きの進め方を踏まえてご相談に対応しています。


離婚を切り出す前に「設計」しておく意味
ここまで4つの方法と順序を見てきましたが、もっとも大切なのは、離婚を切り出す前に全体像を描いておくことです。私はこれを「離婚の設計」と呼んでいます。
離婚は、感情が高ぶった勢いで切り出してしまうと、その後の交渉が一気に不利になることがあります。
相手が身構えてしまったり、財産を動かされてしまったり、子どもをめぐって対立が深まったりするのです。
だからこそ、動き出す前に次のような点を整理しておくことをおすすめします。
- 自分は最終的にどういう条件で離婚したいのか(親権、養育費、財産分与など)
- そのためにどの方法(協議・調停・裁判)が現実的か
- 手元にどんな資料や証拠があり、何が不足しているか
- 別居をするのか、するとしたらいつ、どう動くのか
これらを事前に考えておくと、いざ話し合いが始まったときに、感情に流されず、筋道を立てて進めることができます。
設計図のない家を建てないのと同じで、離婚もまた、進む道筋を描いてから動くほうが、結果として穏やかに、そして納得のいく形で終わることが多いのです。
設計のなかでもとくに大切なのが、証拠や資料を整えておくことです。
たとえば、相手の不貞が疑われるなら、それを示すやり取りや記録は、後から集めようとしても手に入らなくなることがあります。
財産分与を見据えるなら、預貯金や保険、不動産の状況が分かる資料を、一緒に暮らしているうちに把握しておくことが有効です。別居して別々の生活になってからでは、相手の財産の全体像をつかむのが難しくなります。
設計のもう一つの利点は、自分の希望に優先順位をつけられることです。
離婚で決めるべきことは多岐にわたりますが、そのすべてで思いどおりの結果を得られるとは限りません。
何を最も大切にし、どこは譲ってもよいのかをあらかじめ整理しておけば、交渉のなかで迷わず判断でき、結果として納得のいく着地に近づきます。
「もう限界だ」と感じてから設計を始めるのでは遅すぎることもあります。
まだ迷っている段階でこそ、一度立ち止まって全体像を見渡していただきたいと思います。こうした設計の作業は、必ずしも一人で抱え込む必要はありません。
早い段階で専門家とともに地図を描いておくことが、その後の歩みを大きく楽にします。

まとめ
離婚には協議・調停・審判・裁判という4つの方法があり、これらは話し合いがまとまらないときに順に進んでいく階段のような関係にあります。
実際の離婚の約9割は協議離婚ですが、簡単であることと安心であることは別で、決めるべき条件をきちんと整理し、公正証書に残しておくことが後悔を防ぎます。
また、調停前置主義により、いきなり裁判を起こすことは原則できません。
そして何より、離婚を切り出す前に全体像を「設計」しておくことが、穏やかで納得のいく解決への近道になります。


Bさん

横田

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