COLUMNコラム

  1. TOP
  2. COLUMN
  3. 自己破産しても「消えない借金」があるって本当?税金・養育費・損害賠償…【非免責債権】のすべて

自己破産しても「消えない借金」があるって本当?税金・養育費・損害賠償…【非免責債権】のすべて

破産・再生 2026.03.11.

自己破産しても「消えない借金」があるって本当?税金・養育費・損害賠償…【非免責債権】のすべて
横田先生、ようやく決心がつきました。もう毎月の返済に追われる生活は限界です。自己破産をして、借金を全部ゼロにして人生をやり直したいと思います!これで滞納している税金や、元妻への養育費の未払い分も全部チャラになるんですよね?

Aさん

横田

決心されたのですね、その勇気は素晴らしいです。ただ、少し待ってください。 今の発言で聞き捨てならない部分がありました。「税金」や「養育費」のことです。実は、自己破産は借金をゼロにする強力な制度ですが、法律上【どうしても消えない借金】というものが存在します。これを理解しておかないと、破産後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
えっ!?自己破産って、すべての支払いが免除される魔法のような制度じゃないんですか?税金や養育費が残るなら、破産する意味がないんじゃないでしょうか……。

Aさん

横田

いえ、意味がないことは決してありません。消費者金融やカードローンの借金がなくなるだけでも、生活の立て直しは劇的に楽になります。 重要なのは、「何が消えて、何が残るのか」を事前に正しく仕分けし、対策を立てることです。今日は、自己破産しても支払い義務が残る【非免責債権(ひめんせきさいけん)】について、詳しく解説しましょう。

自己破産の落とし穴「非免責債権」とは何か

自己破産を申し立て、裁判所から「免責許可決定」を受けると、原則としてすべての借金の支払い義務が免除されます。これを「免責(めんせき)」といいます。

しかし、破産法第253条には、「免責許可決定が出ても、この支払い義務だけはなくなりません」という例外リストが定められています。これを専門用語で【非免責債権(ひめんせきさいけん)】と呼びます。

よく勘違いされるのが、「ギャンブルで作った借金(免責不許可事由)」との混同です。

免責不許可事由:破産そのものが許されない(すべての借金が消えない)原因

非免責債権:破産自体は成功して他の借金は消えるが、特定の借金だけが残るもの

今回解説するのは後者です。

つまり、裁判所が「あなたは破産していいですよ」と認めてくれたとしても、法律の政策的な理由や、道徳的な観点から「これだけは払いなさい」と残される債務があるのです。

自己破産で「免責許可決定」を受けると、原則すべての借金の支払義務が免除されますが、破産法第253条により免除されない例外「非免責債権」が存在することを解説するスライド。裁判所が破産を認めても、政策的・道徳的理由から「これだけは払いなさい」と残される債務があることを説明しています。
「免責不許可事由」と「非免責債権」の違いを比較したスライド。前者はギャンブル等が原因で破産自体が許されず全ての借金が残るもの。後者は破産自体は成功するが、税金や養育費、損害賠償金など特定の項目だけが免除されずに残るもの、と定義しています。混同しやすい両者の違いを明確に示しています。

【最重要】税金・社会保険料は絶対に免除されない

非免責債権の中で、最も多くの方が直面するのが【公租公課(こうそこうか)】、つまり税金や社会保険料です。

具体的には以下のものが該当します。

・所得税、住民税、贈与税、相続税などの国税

・地方税 ・固定資産税、自動車税

・国民健康保険料、国民年金保険料

・下水道使用料(自治体による)

これらは、国や地方自治体の運営に関わる重要な財源であり、国民の義務であるため、自己破産をしても一切減額されず、免除もされません。

また、自己破産の手続き中であっても、役所は【滞納処分(差し押さえ)】を行う権限を持っています。 「破産手続きに入ったから、税金の督促も止まるだろう」というのは大きな間違いです。

<対策:役所へ相談に行くこと>

税金からは逃げられませんが、支払いの猶予をもらうことは可能です。

弁護士に自己破産を依頼した後、速やかにお住まいの自治体の納税課へ行き、「自己破産の手続きに入りましたが、税金は払う意思があります。しかし現在は一括で払えません」と正直に伝えてください。

多くの自治体では、生活状況に応じた【分割納付(分納)】の相談に応じてくれます。

放置するのが一番危険です。

非免責債権の中で最も一般的な「公租公課」について解説。所得税、住民税、固定資産税、自動車税などの国税・地方税のほか、国民健康保険料や国民年金、下水道使用料も対象です。これらは国や自治体の重要財源であり国民の義務であるため、自己破産をしても一切減額や免除がされないことを強調しています。
税金滞納への注意点と対策をまとめたスライド。破産手続き中であっても役所は差し押さえを行う権限を持っており、「破産すれば催促が止まる」のは間違いです。対策として、弁護士依頼後に速やかに役所の納税課へ行き、払う意思はあるが分割納付したいと正直に相談すること、放置が一番危険であることを説いています。

子供の未来を守る「養育費」も支払い義務が続く

離婚した配偶者に支払うべき【養育費】や【婚姻費用(別居中の生活費)】も、非免責債権となります。

これは、子供の権利を守るためです。

親の経済的な都合で子供の生活基盤が奪われることはあってはならない、という考えに基づいています。

したがって、これまでに滞納している養育費はもちろん、これから将来に向かって支払う養育費についても、自己破産を理由に支払いを拒否することはできません。

もし、どうしても支払えないほど収入が減ってしまった場合は、破産手続きとは別に、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てて、正式に金額を下げてもらう手続きが必要です。

勝手に支払いを止めることは許されません。

離婚した配偶者に支払う「養育費」や「婚姻費用」も、子供の生活基盤を守るために非免責債権とされていることを解説。滞納分だけでなく将来の分も破産を理由に拒否できません。どうしても支払えない場合は、勝手に止めず、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てて正式に金額を下げてもらう手続きが必要と説明。

悪意や重過失による「損害賠償金」は消えない

ここが少し複雑で、誤解が生じやすい部分です。

誰かに怪我をさせたり、物を壊したりして発生した損害賠償金は、その「原因」によって、消えるか消えないかが分かれます。

① 【悪意】を持って加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

ここでの「悪意」とは、単に仲が悪いという意味ではなく、「相手を害してやろう」という積極的な加害意思を指します。

他人を殴って怪我をさせた(傷害)

他人を騙してお金を巻き上げた(詐欺)

会社のお金を使い込んだ(横領)

DV(ドメスティック・バイオレンス)による慰謝料

これらは、被害者を救済する必要性が高いため、自己破産しても支払い義務は消えません。

② 【故意または重大な過失】により加えた【人の生命・身体】を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

わざとではなくても、ひどい落ち度で相手を死傷させた場合です。

飲酒運転や無免許運転で人をはねた場合の賠償金

著しいスピード違反による人身事故の賠償金

これらも非免責債権となります。

一方で、不注意による一般的な交通事故(わき見運転での追突など)や、不倫の慰謝料などは、事案によりますが、原則として「悪意」までは認められず、免責(ゼロになる)されるケースが多いです。

ただし、判断は裁判所が行うため、必ず弁護士に詳細を伝える必要があります。

「悪意(相手を害する積極的な意思)」による損害賠償金は免除されないことを解説。具体例として、暴行による傷害、詐欺、横領、DVによる慰謝料を挙げています。被害者を救済する必要性が高いため、自己破産しても支払い義務は消えないことを示し、賠償金の「原因」によって免責の可否が分かれると説明しています。
身体被害を伴う賠償金の免責基準を解説。飲酒運転や無免許運転、著しい速度超過による人身事故など、故意や重過失がある場合は免除されません。一方で、不注意による一般的な交通事故や不倫の慰謝料などは、事案により免責される可能性があります。最終判断は裁判所が行うため、弁護士への詳細な報告を推奨しています。

罰金・過料・刑事訴訟費用などのペナルティ

国が刑罰や制裁として課しているお金も、免責されません。

刑事事件の罰金 ・交通違反の反則金

裁判所の呼び出しに応じなかった場合の過料

これらが自己破産で消えてしまっては、刑罰の意味がなくなってしまうからです。「借金が払えないから刑務所で労役をして支払う」という事態を避けるためにも、これらは優先して支払う必要があります。

国が刑罰や制裁として課すお金も免責されないことを解説。刑事事件の罰金、交通違反の反則金、裁判所の呼び出しを無視した際の過料が該当します。これらが破産で消えると刑罰の意味がなくなるため、「払えないから刑務所で労役して支払う」事態を避けるためにも、優先して支払う必要があると注意を促しています。

従業員の給料(個人事業主の場合)

もしあなたが個人事業主としてビジネスをしていて、従業員を雇っていた場合、その従業員に支払っていない【給料】や【退職金】の一部は、非免責債権となります。

従業員の生活を守るため、経営者が破産しても「働いた分のお金」は支払う義務が残るのです。

個人事業主が従業員を雇っていた場合、未払いの「給料」や「退職金」の一部は非免責債権となることを解説。従業員の生活を守るため、経営者が自己破産しても「働いた分のお金」を支払う義務は残ります。労働者の権利保護という観点から、事業主の個人的な借金とは区別して扱われることを説明しています。

うっかり漏れに注意!「債権者名簿」に載せなかった借金

最後に、手続き上のミスで発生する非免責債権についてです。

自己破産を申し立てる際、すべての債権者(お金を借りている相手)をリストアップした「債権者一覧表」を裁判所に提出します。

ここに記載し忘れた借金については、原則として免責されません。

「友人からの借金だから、申し訳なくて書かなかった(わざと外した)」という場合はもちろん、「昔の借金ですっかり忘れていた(過失)」という場合でも、相手が破産手続きの開始を知らなかったなら、その借金は残ってしまいます。

弁護士に依頼する際は、どんなに小さな借金や、個人的な貸し借りであっても、絶対に隠さず、漏らさず全てを申告してください。それがあなたの身を守ることになります。

自己破産申立て時に提出する「債権者一覧表」への記載漏れのリスクを解説。友人からの借金をわざと外したり、昔の借金を忘れたりして記載がない場合、相手が破産を知らなければ原則として免責されません。どんなに小さな借金や個人的な貸し借りでも、絶対に隠さず全てを申告することが重要だと強調しています。

それでも自己破産を選ぶメリットと解決策

ここまで「消えない借金」の話をしてきましたが、絶望する必要はありません。

非免責債権があったとしても、自己破産をするメリットは十分にあります。

なぜなら、消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードのリボ払いといった【その他の膨大な借金】は、すべてゼロになるからです。

月々の返済に追われていた数万円、数十万円のお金が浮くことになります。その浮いたお金を、税金や養育費の支払いに充てることができるようになります。

「すべての借金に追われてパンクしている状態」から、「税金など優先すべきものだけを、無理なく払っていく状態」へと整理する。これが、非免責債権がある場合の自己破産の現実的なゴールです。

非免責債権があっても自己破産をする意義を説くスライド。消費者金融やカードローン、リボ払い等はすべてゼロになるため、月々浮いたお金を税金や養育費の支払いに充てられるようになります。「すべての借金に追われてパンクした状態」から「優先すべきものだけを無理なく払っていく状態」へ整理することが現実的なゴールです。
これまで解説してきた非免責債権の総まとめスライド。【税金・社会保険料】、【養育費・婚姻費用】、傷害や詐欺などの【悪意による損害賠償】、飲酒運転等の【重過失による人身損害賠償】、【罰金・過料】、未払い等の【従業員の給料】、そして【名簿漏れの債権】の7項目を一覧で示し、主な具体例を網羅しています。


よく分かりました。税金や養育費は残るけれど、カードローンの返済がなくなる分、支払いはずっと楽になりますね。全部チャラにしようと虫のいいことを考えていましたが、子供のためのお金や税金は、しっかり責任を持って払っていこうと思います。

Aさん

横田

そのお考えで正解です。全てをゼロにできなくても、生活を再建することは十分に可能です。それに、税金については役所と交渉して、無理のない分割払いにしてもらうようアドバイスもできます。優先順位をつけて、一つずつ整理していきましょう。
ありがとうございます。実は、友人に借りたお金のことも言い出しにくくて黙っていたんですが……これも隠さずに一覧表に入れないといけないんですね。後で請求が残ると困るので、正直に全部話します。

Aさん

横田

はい、それが一番大切です。隠してしまうと、最悪の場合、免責そのものが取り消されてしまうリスクもあります。当事務所は全国対応ですので、福井にお越しいただかなくても、オンラインでじっくりリストを確認しながら進められます。一緒に、漏れのない確実な再出発を目指しましょう。


【お問い合わせ先】

弁護士法人横田秀俊法律事務所

〒912-0087 福井県大野市城町8番6号

電話:0779-64-4099

■ 日本全国対応可能・オンライン相談推奨

当事務所では、Google MeetやZOOMなどを活用したオンライン相談を積極的に受け付けています。 お住まいの地域に関わらず、東京、大阪、北海道から沖縄まで、全国の案件に対応しております。 「近くの事務所では知り合いに会うのが怖い」「専門的なアドバイスが欲しい」という遠方の方も、安心してご相談ください。

■ 法律相談料 30分 5,500円(税込)

■ 決済方法

対面でのご相談の場合は、各種クレジットカード決済、QRコード決済などに対応しております。

借金問題は、種類によって解決方法が異なります。

「何が消えて、何が残るのか」を正確に知ることが、解決への第一歩です。

まずはお電話にて、「コラムを読んだ」とお伝えの上、ご予約ください。

弁護士法人横田秀俊法律事務所の相談窓口案内。福井県大野市の所在地と電話番号(0779-64-4099)を掲載。日本全国のオンライン相談に対応しており、相談料は30分5,500円。各種決済方法も利用可能です。「何が消えて、何が残るのか」を正確に知ることが解決への第一歩であると結んでいます。
アバター画像

監修・執筆:弁護士 横田 秀俊 福井弁護士会所属

日本弁護士連合会の中小企業法律支援センター幹事を務め、中小企業の法的支援体制の構築に携わる。
福井県内地域においては、福井県事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターとして、数多くの事業引継ぎや経営課題の解決を主導。
法律のプロフェッショナルとして、緻密な法理と現場主義を両立させた的確なアドバイスを提供している。

pagetop