COLUMNコラム
自己破産しても「消えない借金」があるって本当?税金・養育費・損害賠償…【非免責債権】のすべて
破産・再生 2026.03.11.

Aさん

横田

Aさん

横田
~目次~
自己破産の落とし穴「非免責債権」とは何か
自己破産を申し立て、裁判所から「免責許可決定」を受けると、原則としてすべての借金の支払い義務が免除されます。これを「免責(めんせき)」といいます。
しかし、破産法第253条には、「免責許可決定が出ても、この支払い義務だけはなくなりません」という例外リストが定められています。これを専門用語で【非免責債権(ひめんせきさいけん)】と呼びます。
よく勘違いされるのが、「ギャンブルで作った借金(免責不許可事由)」との混同です。
・免責不許可事由:破産そのものが許されない(すべての借金が消えない)原因
・非免責債権:破産自体は成功して他の借金は消えるが、特定の借金だけが残るもの
今回解説するのは後者です。
つまり、裁判所が「あなたは破産していいですよ」と認めてくれたとしても、法律の政策的な理由や、道徳的な観点から「これだけは払いなさい」と残される債務があるのです。


【最重要】税金・社会保険料は絶対に免除されない
非免責債権の中で、最も多くの方が直面するのが【公租公課(こうそこうか)】、つまり税金や社会保険料です。
具体的には以下のものが該当します。
・所得税、住民税、贈与税、相続税などの国税
・地方税 ・固定資産税、自動車税
・国民健康保険料、国民年金保険料
・下水道使用料(自治体による)
これらは、国や地方自治体の運営に関わる重要な財源であり、国民の義務であるため、自己破産をしても一切減額されず、免除もされません。
また、自己破産の手続き中であっても、役所は【滞納処分(差し押さえ)】を行う権限を持っています。 「破産手続きに入ったから、税金の督促も止まるだろう」というのは大きな間違いです。
<対策:役所へ相談に行くこと>
税金からは逃げられませんが、支払いの猶予をもらうことは可能です。
弁護士に自己破産を依頼した後、速やかにお住まいの自治体の納税課へ行き、「自己破産の手続きに入りましたが、税金は払う意思があります。しかし現在は一括で払えません」と正直に伝えてください。
多くの自治体では、生活状況に応じた【分割納付(分納)】の相談に応じてくれます。
放置するのが一番危険です。


子供の未来を守る「養育費」も支払い義務が続く
離婚した配偶者に支払うべき【養育費】や【婚姻費用(別居中の生活費)】も、非免責債権となります。
これは、子供の権利を守るためです。
親の経済的な都合で子供の生活基盤が奪われることはあってはならない、という考えに基づいています。
したがって、これまでに滞納している養育費はもちろん、これから将来に向かって支払う養育費についても、自己破産を理由に支払いを拒否することはできません。
もし、どうしても支払えないほど収入が減ってしまった場合は、破産手続きとは別に、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てて、正式に金額を下げてもらう手続きが必要です。
勝手に支払いを止めることは許されません。

悪意や重過失による「損害賠償金」は消えない
ここが少し複雑で、誤解が生じやすい部分です。
誰かに怪我をさせたり、物を壊したりして発生した損害賠償金は、その「原因」によって、消えるか消えないかが分かれます。
① 【悪意】を持って加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
ここでの「悪意」とは、単に仲が悪いという意味ではなく、「相手を害してやろう」という積極的な加害意思を指します。
他人を殴って怪我をさせた(傷害)
他人を騙してお金を巻き上げた(詐欺)
会社のお金を使い込んだ(横領)
DV(ドメスティック・バイオレンス)による慰謝料
これらは、被害者を救済する必要性が高いため、自己破産しても支払い義務は消えません。
② 【故意または重大な過失】により加えた【人の生命・身体】を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
わざとではなくても、ひどい落ち度で相手を死傷させた場合です。
飲酒運転や無免許運転で人をはねた場合の賠償金
著しいスピード違反による人身事故の賠償金
これらも非免責債権となります。
一方で、不注意による一般的な交通事故(わき見運転での追突など)や、不倫の慰謝料などは、事案によりますが、原則として「悪意」までは認められず、免責(ゼロになる)されるケースが多いです。
ただし、判断は裁判所が行うため、必ず弁護士に詳細を伝える必要があります。


罰金・過料・刑事訴訟費用などのペナルティ
国が刑罰や制裁として課しているお金も、免責されません。
刑事事件の罰金 ・交通違反の反則金
裁判所の呼び出しに応じなかった場合の過料
これらが自己破産で消えてしまっては、刑罰の意味がなくなってしまうからです。「借金が払えないから刑務所で労役をして支払う」という事態を避けるためにも、これらは優先して支払う必要があります。

従業員の給料(個人事業主の場合)
もしあなたが個人事業主としてビジネスをしていて、従業員を雇っていた場合、その従業員に支払っていない【給料】や【退職金】の一部は、非免責債権となります。
従業員の生活を守るため、経営者が破産しても「働いた分のお金」は支払う義務が残るのです。

うっかり漏れに注意!「債権者名簿」に載せなかった借金
最後に、手続き上のミスで発生する非免責債権についてです。
自己破産を申し立てる際、すべての債権者(お金を借りている相手)をリストアップした「債権者一覧表」を裁判所に提出します。
ここに記載し忘れた借金については、原則として免責されません。
「友人からの借金だから、申し訳なくて書かなかった(わざと外した)」という場合はもちろん、「昔の借金ですっかり忘れていた(過失)」という場合でも、相手が破産手続きの開始を知らなかったなら、その借金は残ってしまいます。
弁護士に依頼する際は、どんなに小さな借金や、個人的な貸し借りであっても、絶対に隠さず、漏らさず全てを申告してください。それがあなたの身を守ることになります。

それでも自己破産を選ぶメリットと解決策
ここまで「消えない借金」の話をしてきましたが、絶望する必要はありません。
非免責債権があったとしても、自己破産をするメリットは十分にあります。
なぜなら、消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードのリボ払いといった【その他の膨大な借金】は、すべてゼロになるからです。
月々の返済に追われていた数万円、数十万円のお金が浮くことになります。その浮いたお金を、税金や養育費の支払いに充てることができるようになります。
「すべての借金に追われてパンクしている状態」から、「税金など優先すべきものだけを、無理なく払っていく状態」へと整理する。これが、非免責債権がある場合の自己破産の現実的なゴールです。



Aさん

横田

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横田
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