COLUMNコラム
離婚後の「共同親権」導入で生活はどう変わる?民法改正のポイントと注意点を弁護士が徹底解説
ニュース解説 2026.03.03.
~目次~
これまで日本では、離婚後の子供の親権は、父母のどちらか一方が持つ「単独親権」のみが認められていました。
しかし、民法改正により、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選べるようになります。
「離婚したら、子供のことはどう決めるの?」
「別れた相手と関わり続けなければならないの?」
「すでに離婚している場合はどうなる?」
こうした疑問や不安を持つ方は少なくありません。
今回の改正は、日本の家族法制における歴史的な大転換であり、これから離婚を考えている方だけでなく、すでに離婚されている方にも影響が及ぶ可能性があります。
本コラムでは、弁護士法人横田秀俊法律事務所が、共同親権導入によって何が変わり、どのような準備が必要なのか、法律の専門家の視点から分かりやすく解説します。
福井県大野市から全国の皆様へ、最新の法情報をお届けします。
いよいよ導入される「共同親権」とは?単独親権との違い
これまでの日本の民法では、婚姻中は父母が共同で親権を行使(共同親権)しますが、離婚をすると、必ずどちらか一方を親権者と定めなければなりませんでした(単独親権)。
これが、近年の民法改正により、離婚後であっても、父母が協議をして合意すれば、引き続き双方が親権者となる「共同親権」を選択できるようになります。
親権とは、大きく分けて「財産管理権」と「身上監護権」の2つから成り立っています。
◎財産管理権は、子供の財産を管理したり、法律行為を代理したりする権利です。
◎身上監護権は、子供の身の回りの世話や教育、居所の指定などを行う権利です。
単独親権制度の下では、親権を持たない親(別居親)は、子供の進学先決定や医療行為の同意などに関与する法的な権限を失っていました。
しかし、共同親権が導入されると、離婚後も父母双方が子供の成長に対して責任を持ち、重要な決定に関与し続けることになります。
これは、子供の利益を最優先に考え、両親からの愛情や支援を受けられる環境を維持することを目的としています。
ただし、全ての夫婦が強制的に共同親権になるわけではありません。
ここが非常に重要なポイントです。

「共同」か「単独」か、どうやって決めるのか
改正民法では、原則として「父母の協議」によって親権のあり方を決定します。
まずは夫婦で話し合い、「離婚後も共同で親権を持つか」、それとも「どちらか一方の単独親権とするか」を決めます。
もし、父母の間で話し合いがまとまらない場合や、そもそも話し合いができない場合は、家庭裁判所が判断することになります。
家庭裁判所は、子供の利益を最も重視して判断を下します。
父母の関係性、これまでの養育状況、子供自身の意向、そしてDVや虐待の有無などを総合的に考慮し、共同親権が適切か、あるいは単独親権とすべきかを審判します。
つまり、選択肢が増えるということであり、必ずしも共同親権を選ばなければならないという義務ではありません。
状況に応じて、子供にとって最も幸せな形を選ぶことが求められます。

【重要】学校、医療、転居…日常生活での決定権はどう変わる?
共同親権になった場合、最も懸念されるのが「日々の生活の中で、いちいち別れた相手の許可を取らなければならないのか?」という点です。
結論から申し上げますと、すべての決定に双方の合意が必要なわけではありません。
改正案では、親権の行使について以下のようなルール分けが想定されています。
◎【日常の行為】
子供の食事や身の回りの世話、習い事の日程調整といった日常的な行為については、実際に子供と一緒に暮らしている親(監護親)が単独で決定・実施できるとされています。これらについて逐一、別居親の同意を得る必要はありません。
◎【急迫の事情がある場合】
例えば、子供が急な病気や怪我をして緊急手術が必要な場合や、DVから逃れるために緊急避難的に転居する必要がある場合などは、一方の親が単独で判断・実行することができます。子供の生命や身体の安全が脅かされるような緊急事態において、合意形成を待つことで手遅れになることを防ぐためです。
◎【重要な決定事項】
一方で、子供の人生に大きな影響を与える事項については、父母双方の合意(共同行使)が必要となります。 具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 進学先の決定(公立か私立か、どの学校か)
- 長期的な医療行為の選択(矯正歯科や大きな手術など)
- 遠方への転居(海外移住や、面会交流が困難になるような引越し)
- 宗教上の行為
これらの「重要な決定」について意見が対立した場合は、最終的には家庭裁判所に判断を仰ぐことになります。
そのため、離婚時にあらかじめ「誰が何を決定する権限を持つか」を細かく取り決めておくこと(監護の分掌)が、将来の紛争予防において極めて重要になります。

DV(ドメスティック・バイオレンス)や虐待がある場合の例外措置
共同親権の議論において最も懸念されているのが、DVや虐待のケースです。
「DV加害者である配偶者と、離婚後も関わり続けなければならないのか」
「居場所を知られてしまうのではないか」
こうした不安に対して、改正法では明確な例外規定を設けています。
もし、配偶者からの暴力(DV)や、子供への虐待がある場合、家庭裁判所は「単独親権」としなければならない、とされています。
つまり、DVや虐待のおそれがあるケースでは、共同親権は認められません。
子供や被害者である親の安全確保が最優先されるためです。
また、父母の仲が極めて険悪で、円滑な意思疎通が全く図れないようなケース(高葛藤事案)についても、共同親権とすることが「子の利益を害する」と判断されれば、単独親権が選択されることになります。
「共同親権が原則だから我慢しなければならない」ということは決してありませんので、ご安心ください。不安がある場合は、必ず離婚成立前に弁護士へ相談し、証拠を保全しておくなどの対策が必要です。

養育費と面会交流への影響はあるのか
共同親権が導入されても、別居親の「養育費の支払い義務」がなくなるわけではありません。
「共同親権だから、自分も子供の面倒を見ている(口を出している)のだから、養育費は払わなくていいだろう」という主張は通りません。
ただし、実際に子供と過ごす時間(監護割合)が大幅に増えた場合などには、養育費の算定額に影響が出る可能性はあります。
今回の改正では、養育費の支払いをより確実にするための法整備も同時に進められています。「法定養育費」という制度の創設も検討されており、取り決めがなくても最低限の養育費を請求できる権利が明記される方向です。
また、面会交流(親子交流)についても変化が予想されます。共同親権となることで、別居親と子供との関わりはより密接なものとなることが期待されます。 しかし、これも「子供の利益」が基準です。子供が会いたがっていない場合や、会うことが子供に悪影響を与える場合にまで無理に合わせるものではありません。

すでに離婚している場合にも適用される?(法の遡及適用)
この改正法の大きな特徴の一つが、施行前にすでに離婚している元夫婦にも適用される可能性があるという点です。
改正法の施行後、すでに単独親権で離婚が成立している場合でも、父母双方が合意すれば、家庭裁判所に申し立てを行うことで「共同親権」に変更することが可能になります。
また、一方の親が「共同親権への変更」を希望し、もう一方が拒否した場合でも、家庭裁判所に審判を申し立てることができます。
ただし、裁判所が親権者の変更を認めるのは、あくまで「変更することが子供の利益になる」と判断された場合に限られます。単に「制度が変わったから権利が欲しい」という理由だけでは認められにくく、これまでの養育実績や子供との関係性が厳しく審査されることになるでしょう。
逆に言えば、現在単独親権をお持ちの方で、元配偶者から「共同親権への変更」を求められる可能性もゼロではありません。その場合も、DVの有無や過去の経緯、現在の生活状況などを踏まえて反論していくことが可能です。

トラブルを避けるために今からできること・弁護士に相談すべき理由
共同親権制度は、上手に運用できれば、子供が両親双方からの愛情を受けて育つことができる素晴らしい制度です。
しかし、運用を間違えれば、離婚後も続く夫婦間の対立に子供を巻き込んでしまうリスクもはらんでいます。
新しい制度の下で離婚をスムーズに進める、あるいは過去の離婚条件を見直すためには、正しい法的知識が不可欠です。
- 自分のケースでは共同親権と単独親権、どちらが適しているのか
- 共同親権にする場合、決定権限の分担(監護の分掌)をどう合意書に落とし込むか
- DV事案として単独親権を勝ち取るためにはどのような証拠が必要か
これらは、インターネット上の一般論だけでは判断が難しい個別具体的な問題です。
弁護士法人横田秀俊法律事務所では、改正民法の最新情報を常にアップデートし、個人の家事事件(離婚・親権問題)にも注力しています。
当事務所は福井県大野市に拠点を置いていますが、オンライン相談(ZOOM、Google Meet等)を完備しており、全国どこからでもご相談いただけます。都市部の法律事務所と同様のリーガルサービスを、場所を選ばず提供できるのが強みです。
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