COLUMNコラム
あなたに合うのは?自己破産・任意整理・個人再生の3つの違い
破産・再生 2026.02.24.
~目次~
日々の生活の中で、借金の返済に追われ、心が休まる暇がないと感じていらっしゃる方は決して少なくありません。毎月の給料が振り込まれても、その大半がクレジットカードのリボ払いや消費者金融への返済に消えてしまい、生活費が足りずにまた借り入れをしてしまう。このような悪循環に陥ってしまうと、精神的にも肉体的にも限界を迎えてしまいます。
借金問題は、真面目な人ほど一人で抱え込んでしまう傾向があります。
しかし、借金は法的な手続きを用いることで、確実に整理し、生活を立て直すことが可能です。
そのための公的な解決手段が【債務整理】です。
債務整理には、大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの種類が存在します。
インターネット上で検索すると様々な情報が溢れていますが、それぞれの手続きには明確なメリットとデメリットがあり、ご自身の借入総額、毎月の収入状況、家族構成、そしてマイホームや車などの財産をどうしても残したいかといったご希望によって、選択すべきベストな方法は全く異なります。
間違った選択をしてしまうと、後々の生活に想定外の支障をきたす可能性もあります。
本コラムでは、これら3つの債務整理の根本的な違いと、皆様がご自身の状況に合わせて正しい選択をするための基準について、弁護士法人横田秀俊法律事務所の弁護士が一般の方にも分かりやすい言葉で丁寧に解説いたします。
当事務所は福井県にありますが、全国の案件にオンラインで対応しております。
このコラムを読んでいただくことが、不安な日々から抜け出し、新たな人生の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
債務整理とは?人生を再建するための3つの法的手段
債務整理とは、多重債務などで借金の返済が行き詰まってしまった場合に、法律の力を借りて借金を減額したり、返済期間を延ばしたり、あるいは支払い義務を免除してもらうことで、経済的な再生を支援するための制度全体を指す言葉です。
日本では主に、「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの手続きが広く利用されています。
これらは国が認めた正当な救済措置であり、決して特別な人だけが利用するものではありません。毎年、数万人もの方がこれらの制度を利用して生活の再建を果たしています。
弁護士にご依頼いただいた時点で、弁護士から各債権者(お金を貸している会社)に対して受任通知という書類を送付します。
この通知が債権者に届いた段階で、法律に基づき、債権者からの直接の取り立てや督促がストップし、毎月の返済も一時的に停止させることができます。
これだけでも、日々の精神的なプレッシャーから大きく解放されるはずです。
その後、落ち着いた環境の中で、弁護士とともにご自身に最適な解決策をじっくりと検討していくことになります。

任意整理:将来の利息をカットし、無理のない範囲で元金を返済する
任意整理は、裁判所という公的な機関を通さずに、弁護士がご本人に代わって直接クレジットカード会社や消費者金融、銀行などの債権者と個別に交渉を行う手続きです。
最大の特徴は、交渉が成立した後の【将来利息】や【遅延損害金】を原則としてカット(免除)してもらい、残った借金の元金のみを、3年間から5年間(36回から60回)の分割払いで着実に返済していく点にあります。
例えば、毎月の返済額の半分以上が利息の支払いに充てられていて、元金が一向に減らないという状態に陥っている方にとって、利息がなくなる任意整理の効果は絶大です。
任意整理が適しているのは、以下のような条件に当てはまる方々です。
- 借金の総額が比較的少なく、利息さえなくなれば確実に元金を返済していける方
- 毎月安定した給与などの収入があり、3年〜5年にわたる継続的な支払いが可能な方
- 自動車のローンや、保証人がついている借金を整理の対象から外し、特定の借金だけを選んで整理したい方
- 官報(国が発行する機関紙)に名前が載ることを避け、家族や職場に知られずに秘密裏に解決したい方
任意整理は、整理する借金を選ぶことができる柔軟性の高さが大きなメリットです。
ただし、あくまで元金はすべて自分の力で返済することが大前提となるため、借金の総額がご自身の収入に対して大きすぎる場合には、別の手続きを検討する必要があります。

個人再生:借金総額を大幅に減額し、マイホームを守りながら返済する
個人再生は、地方裁判所に申し立てを行い、裁判所に再生計画を認可してもらうことで、抱えている借金の総額を大幅に減額してもらう法的な手続きです。
減額される割合は、借金の総額や保有している財産の価値によって変動しますが、一般的には借金総額が【5分の1程度】(あるいは最低返済額として定められている100万円)まで大幅に圧縮されるケースが多く見られます。減額された後の残りの借金を、原則として3年間(特別な事情が認められれば最長5年間)で毎月分割して返済していくことになります。
個人再生が適しているのは、以下のような条件に当てはまる方々です。
- 住宅ローンを返済中のマイホームをどうしても手放したくない方
- 借金の総額が非常に大きく、任意整理での返済では到底完済の目処が立たない方
- 会社員や公務員など、今後も継続して安定した収入を確実に得られる見込みがある方
- 自己破産を選択すると、職業制限にかかってしまい今の仕事を続けられなくなる資格をお持ちの方(警備員、保険募集人など)
個人再生の最大の魅力であり特徴は、【住宅資金特別条項(住宅ローン特則)】を利用できる点です。
これにより、住宅ローンだけは従来通り返済を続けることで自宅への競売を回避し、マイホームに住み続けながら、それ以外の借金だけを大幅に減額することが可能になります。
ただし、裁判所を通す手続きであるため、集めなければならない書類が非常に多く、手続き自体も複雑かつ厳格なスケジュールで進行します。
そのため、専門的な知識を持つ弁護士のサポートが必要不可欠と言えます。

自己破産:借金の支払い義務を全額免除し、生活をゼロから再出発する
自己破産は、地方裁判所に申し立てを行い、現在の収入や財産状況からこれ以上借金を返済していくことは客観的に不可能であると認めてもらい、原則として【すべての借金の支払い義務を法的に免除】(免責)してもらう究極の救済手続きです。
税金や健康保険料、養育費などの一部の非免責債権を除き、抱えている借金が完全にゼロになります。
自己破産が適しているのは、以下のような条件に当てはまる方々です。
- 病気や失業などで現在無職である、あるいは極端に収入が低く、借金を返済していく能力が存在しない方
- 借金の総額がご自身の年収に対して大きすぎ、利息をカットしたとしても数年間での完済が不可能な方
- 持ち家などの不動産や、査定額の高い高価な自動車などの資産を手放すことになっても構わない方
自己破産と聞くと、人生の終わりだ、戸籍に破産者と記載されるといった誤ったイメージを持たれ、極度に恐れる方がいらっしゃいます。
しかし、これらは全て事実無根の誤解です。
一定以上の価値がある財産はお金に換えられ債権者に配当されますが、生活に必要な一般的な家具や家電製品、衣類、そして99万円以下の現金などは手元に残すことが法律で保障されています。
自己破産は、借金で首が回らなくなり追い詰められた方を救済し、もう一度健全な社会生活を送れるようゼロから再出発させるための、国が定めた非常に強力で前向きな制度なのです。

あなたに合う手続きはどれ?状況に合わせた簡易診断フローチャート
ここまで3つの債務整理の手続きについて解説してきました。
ご自身にどの手続きが一番適しているのか、以下の具体的な基準を参考に簡易診断してみましょう。
◎質問1:現在、住宅ローン返済中のマイホームがあり、その家を手放さずに住み続けたいと強く希望していますか?
はいの場合:個人再生(住宅ローン特則の利用)を最優先で検討します。マイホームを守りながら他の借金を減額できるかシミュレーションを行います。
いいえの場合:質問2へ進みます。
◎質問2:現在抱えている借金の総額(住宅ローンは除く)は、ご自身の現在の年収の3分の1を大きく超えていますか?
いいえの場合:任意整理での解決の可能性が高いです。将来の利息をカットした場合、残りの元金を3年〜5年の分割で毎月無理なく完済できるか計算します。
はいの場合:自力での完済は非常に困難な水準です。質問3へ進みます。
◎質問3:今後、会社員やパートなどで、安定して継続した収入を毎月得る見込みがありますか?
はいの場合:個人再生を検討します。借金総額を5分の1などに大幅に減額した上で、残りを3年間で分割返済していく余力があるかを確認します。
いいえの場合:返済能力がないと判断されるため、自己破産による借金の全免除を検討し、生活の再建を第一に考えます。
このフローチャートは、あくまで初期段階での目安に過ぎません。
実際の手続きの選択においては、お一人おひとりの細かな家計の収支状況、保有している財産の種類や価値などを総合的かつ専門的に判断する必要があります。
インターネット上の情報だけで自己判断せず、法律の専門家である弁護士に直接状況を話し、正確な診断を受けることをお勧めいたします。

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