COLUMNコラム
SNSや掲示板での誹謗中傷・風評被害への法的対処法(削除請求・発信者情報開示)
~目次~
「Googleマップの口コミに、身に覚えのない悪評を書かれ、星1をつけられた」
「爆サイや5ちゃんねるなどの匿名掲示板で、店の実名やスタッフの個人情報を晒されている」
「X(旧Twitter)でデマを拡散され、客足が急に遠のいてしまった」
飲食店、クリニック、美容室、あるいは一般企業に至るまで、インターネット上の誹謗中傷は、経営を揺るがす深刻な問題です。
たった一つの悪意ある書き込みが、デジタルタトゥーとして半永久的に残り続け、売上の減少、採用難、さらには経営者や従業員の精神的苦痛を引き起こします。
「ネットの書き込みだから仕方がない」
「誰が書いたか分からないから泣き寝入りするしかない」
と諦めてはいけません。
インターネットは決して無法地帯ではありません。匿名であっても、法律の手続きを踏めば、記事を強制的に削除させたり、投稿者を特定して責任を追及したりすることが可能です。
本コラムでは、顔の見えない悪意から会社と従業員を守るための、具体的かつ実践的な法的対処法について詳しく解説します。

放置は厳禁!「デジタルタトゥー」が経営に与える破壊的なダメージ
インターネット上の誹謗中傷が恐ろしいのは、その拡散力と保存性にあります。
一度書き込まれた情報は、コピー&ペーストで他のまとめサイトに転載され、SNSで拡散され、瞬く間に広がります。
これを【デジタルタトゥー】と呼びます。
「事実無根の嘘だから、放っておけば誰も信じないだろう」という考えは、残念ながら現代社会では通用しません。
新規のお客様はお店選びの際に必ず検索をします。その時、検索候補(サジェスト)に「最悪」「食中毒」「ボッタクリ」といった不穏なワードが出てきたらどうでしょうか。真偽を確かめるよりも先に、無意識にその店を避けてしまうでしょう。被害は集客だけにとどまりません。
・求人を出しても「評判の悪い会社」と思われ応募が来ない
・取引先や銀行からの信用調査に悪影響が出る
・従業員が「自分の会社が悪く書かれている」と不安になり、退職してしまう
・経営者の家族や子供がいじめの標的になる
このように、たった一つの書き込みが、事業の存続や個人の生活基盤までも破壊しかねないのです。被害を発見したら、傷口が広がる前に直ちに行動を起こす必要があります。

自分でやるのと何が違う?削除請求の「壁」と弁護士の介入
誹謗中傷対策の第一歩は、問題となっている記事や口コミを物理的に消去する【削除請求】です。
Googleマップや掲示板サイトには、一般ユーザー向けの「削除依頼フォーム」や「違反報告ボタン」が設置されています。まずはここから申請を行うのがセオリーですが、実際には「申請したが無視された」「削除できないという定型文が返ってきた」というケースが後を絶ちません。
なぜなら、サイト運営側は「表現の自由」を重視しており、当事者同士の言い分が食い違う場合、安易に削除できないという事情があるからです。
例えば「料理が不味かった」という書き込みは、店側にとっては営業妨害でも、客側にとっては「感想」であり、直ちに違法とは言えないからです。
ここで、弁護士の出番となります。 弁護士が行う削除請求は、単なる「利用規約違反」の指摘ではありません。
法律に基づき、「名誉毀損(権利侵害)」が発生していることを法的に論証し、サイト管理者に削除を迫ります。
◎【任意の削除交渉】
弁護士名で「送信防止措置依頼書」を送付し、法的な根拠を示して削除を求めます。個人名で送るよりもサイト側が真剣に検討する可能性が高まります。
◎【裁判所による仮処分】
任意の交渉に応じない場合、裁判所に対して《仮処分命令申立》を行います。これは通常の裁判よりも迅速に行われる手続きで、裁判所が「違法である」と認めれば、サイト管理者に対して「削除せよ」という命令を出します。
この命令が出れば、Googleや海外の掲示板運営者であっても、ほとんどが即座に削除に応じます。ここまでやって初めて、頑固な書き込みを消すことができるのです。


匿名投稿者の仮面を剥ぐ-「発信者情報開示請求」の仕組み
記事を削除しただけでは気が済まない、二度と同じことをさせたくない、受けた損害を賠償させたい。
そのためには、匿名の投稿者が「どこの誰なのか」を特定する必要があります。
これを可能にするのが、プロバイダ責任制限法に基づく【発信者情報開示請求】です。
特定までの流れは、インターネットの仕組み上、段階を踏む必要があります。
【ステップ1:IPアドレスの特定】
まず、掲示板やSNSの運営会社(コンテンツプロバイダ)に対して、投稿に使われた「IPアドレス」と「タイムスタンプ(投稿日時)」の開示を求めます。
これにより、例えば「投稿者は、〇月〇日〇時〇分に、NTTドコモの回線を使って投稿した」といった事実が判明します。しかし、この時点ではまだ個人の名前は分かりません。
【ステップ2:契約者情報の特定】
次に、判明した接続業者(アクセスプロバイダ/携帯キャリアやISPなど)に対して、「この時間にこのIPアドレスを使っていた契約者の氏名・住所・メールアドレスを開示せよ」と求めます。
プロバイダ側も契約者の個人情報保護義務があるため、簡単には開示しません。
基本的には裁判所での手続きを経て、「権利侵害が明白である」と認められた場合にのみ、情報が開示されます。
この手続きを経てようやく、投稿者の実名と住所が手に入ります。特定後は、内容証明郵便を送って慰謝料を請求したり、示談交渉を行ったり、あるいは損害賠償請求訴訟を起こしたりといった直接的な責任追及が可能になります。

新しい制度でスピードアップ?法改正による手続きの変化
これまでは、上記の2段階の手続きそれぞれで裁判を起こす必要があり、特定までに1年近くかかることも珍しくありませんでした。
その間に被害が拡大したり、ログが消えてしまったりすることが大きな課題でした。
しかし、法改正により、新たな裁判手続(非訟手続)が創設されました。
これにより、1つの手続きの中で、サイト運営者へのIP開示命令と、プロバイダへの住所氏名開示命令を一体的に行うことが可能となり、以前よりもスムーズかつ迅速に(数ヶ月程度で)特定できるケースが増えています。
最新の法律知識を持つ弁護士であれば、事案に応じて最適なルートを選択し、最短距離での解決を目指すことができます。

民事賠償だけではない-「名誉毀損罪」での刑事告訴という選択肢
誹謗中傷の内容が悪質である場合、金銭的な解決(民事責任)だけでなく、犯罪として警察に処罰を求める(刑事責任)ことも検討すべきです。
【名誉毀損罪】
公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させた場合に成立します。
「〇〇店は産地偽装をしている」
「院長は患者と不倫している」
など、具体的な事柄を書いて評判を落とす行為です。3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
【侮辱罪】
事実を示さずとも、「バカ」「無能」「ゴミ」といった罵詈雑言を浴びせる行為です。近年、厳罰化され、拘留や科料だけでなく懲役刑も導入されました。
【信用毀損罪・偽計業務妨害罪】
虚偽の情報を流して経済的な信用を傷つけたり、業務を妨害したりする行為です。
「あの店でコロナが出た」
「異物が混入していた」
といった嘘の書き込みや、大量のいたずら予約などが該当します。
警察は「民事不介入」の原則があるため、単なるネットトラブルではなかなか動いてくれません。
しかし、弁護士が証拠を整理し、構成要件を満たしていることを説明した《告訴状》を作成して提出することで、正式に事件として受理され、捜査が開始される可能性が高まります。
警察から連絡が来ること自体が、加害者にとって最大の制裁となり、再発防止の強力な抑止力となります。

「ログ保存期間」との戦い-なぜ1日でも早い相談が必要なのか
ネット上の誹謗中傷対策において、最も重要なのは【スピード】です。
これは精神論ではありません。技術的な限界があるからです。
投稿者を特定するために絶対に必要な「アクセスログ(通信記録)」は、プロバイダ側で永久に保存されているわけではありません。
携帯キャリアやプロバイダのログ保存期間は、一般的に《約3ヶ月から6ヶ月》と非常に短期間です。
悩んでいる間にこの期間を過ぎてしまうと、いくら裁判で勝てる見込みがあっても、肝心のログが消去されてしまっているため、「技術的に特定不能」という最悪の結末を迎えることになります。
書き込みを見つけたら、感情的になって言い返す前に、まずはURLや日時が分かる状態でスクリーンショットを撮って証拠を保全し、一刻も早く弁護士にご相談ください。
「明日やろう」では遅いかもしれないのです。

誹謗中傷対策は、弁護士法人横田秀俊法律事務所にお任せください
顔の見えない相手からの攻撃は、経営者様にとって計り知れない恐怖とストレスとなります。
しかし、法律という武器を使えば、必ず反撃の糸口は見つかります。泣き寝入りをする必要はありません。
弁護士法人横田秀俊法律事務所では、Googleマップ、爆サイ、5ちゃんねる、X(旧Twitter)、Instagramなど、様々な媒体での削除請求・発信者情報開示請求に対応しております。
「これくらいの内容で削除できるのか」
「特定できる可能性は何%くらいか」
といった疑問にも、専門家の視点から率直にお答えします。
大切なお店や会社の名誉、そして従業員の笑顔を守るため、福井県大野市の当事務所まで、まずはお気軽にお電話よりお問い合わせください。
